歯科コラム

歯科コラム

  • 鼻呼吸で感染症予防

    歯と健康

    中村歯科コラム:新型コロナインフルエンザウイルス感染予防

    新型コロナウイルスについて

    新型コロナウイルスの影響が社会生活にもさまざまに波及し、皆さまの生活も少なからぬ変化を強いられているのではないでしょうか。
    前回も取り上げましたが、感染は拡大する一方で感染者が確認された国と地域はすでに100を超え、WHO(世界保健機構)はパンデミック(世界的な大流行)の脅威が現実味を帯びてきたと警告しています(3月9日現在)。ただ、歴史上初めて制御できるパンデミックになるだろうと各国の取り組みへの期待を込めています。
    日本政府の専門家会議では暖かくなれば消えるウイルスではなく、長期化する可能性も示唆しており、我々としても長期戦を覚悟して立ち向かわなければいけないという思いを強くしました。

    鼻呼吸の効果

    こうしたなか、今回は感染症予防に欠かせない鼻呼吸について取り上げました。人は本来、鼻から呼吸をするようにできていて、それは健康上の理由があるからなのです。鼻の奥から喉にかけての空洞を鼻腔といいますが、表面は粘膜細胞で覆われていて細かい繊毛が敷きつめられています。この繊毛にホコリやチリの粒子や花粉、細菌やウイルスが絡め取られて外に排出されます。つまり、フィルターとしての役目を果たしていて、有害な物質が体内に侵入するのを防いでくれています。吸い込んだ空気はこの鼻腔で温められ湿気を含んで肺へと送られるので、冬の寒い時期など冷気を和らげ、肺への負担を軽減します。つまり自前の高性能マスクといってよく、口呼吸の場合にはこの天然のマスクがないので細菌もウイルスも素通りするため、感染症にかかるリスクが高いといえます。
    お子さんの場合はアデノイド肥大が口呼吸の原因になることがあります。アデノイドとは咽頭扁桃のことで鼻からのどにつながる部分にあるリンパ組織で、細菌やウイルスの感染を防ぐ免疫組織です。子どもの頃にアデノイド肥大があって口呼吸を続けていると、下あごが後ろに引っ込み前歯が出る、いわゆる“出っ歯”や、前歯が上下で噛み合わない開咬という不正咬合になるなど歯並びにも影響を与えるので早期発見で口呼吸の癖を治すことが必要です。
    たくさんの酸素を採り入れなければならないランニングなどの運動をする際は別ですが、口呼吸は百害あって一利無しといってよく、口の中が乾きやすく唾液による自浄・殺菌作用が低下してむし歯や歯周病になりやすかったり、口臭が強くなったりします。

    アンチエイジング効果も期待

    口呼吸を防止し本来の鼻呼吸を取り戻すために口呼吸体操がおすすめです。大きく開けてあ~、い~、う~、べ~と言うだけですが、声を出す必要はなく、口の周囲の筋肉や舌を意識して大きく動かすことを心がけてください。1日に30回ほど行えば、1ヶ月ほどで口の周囲の筋肉が鍛えられて口元が締まってきます。
    そのほか、睡眠中の口呼吸を防止するためにテープを口元に縦に貼る方法があります。テープは薬局で販売しているサージカルテープがかぶれなくてよいようです。口を閉じた状態にして就寝する癖をつけます。
    口呼吸を続けると口元がたるみ口角が下がり、ほうれい線が深くなるなど老け顔へとまっしぐら……とはなりたくないものです。アンチエイジングという観点からも鼻呼吸美人、鼻呼吸美男子を目指しましょう。

    中村歯科コラム:鼻呼吸で感染症予防
  • インフルエンザ予防に口腔内清掃が有効

    歯と健康

    中村歯科コラム:インフルエンザウイルス予防のマスク

    流行りのインフルエンザウイルス

    武漢での新型コロナウイルスの発生以来、不安な日々が続いており、マスクやアルコール消毒液などの売り切れが相次いでいます。2009年の豚由来の新型インフルエンザの時もマスクが品薄になりましたが、このときは感染しても軽症で済む患者が多く、大事には至らずにすみました。
    コロナウイルスという名称はあまりなじみがありませんが、じつは一般の風邪の原因の10~15%(流行期は35%)を占めているウイルスです。ただ、今回は新型なので構造の一部が変化し、人にとっては未知のウイルスであるため免疫がなく、急速な感染の広がりと健康への重大な影響とが懸念されます。冬季に流行する季節性インフルエンザの場合はほとんどの人が何度か感染した経験があり基礎免疫を持っているため、多くの人の場合重篤な状況になることなく回復します。

    ウイルスの増殖を助ける口腔細菌

    インフルエンザウイルスは鼻やのどなどの粘膜にウイルスが付着し、細胞内で増殖します。通常は粘膜の表面を覆うタンパク質によって侵入を阻まれますが、インフルエンザウイルスの出すプロテアーゼという酵素によってウイルス表面の突起を切って細胞内に侵入していきます。細胞内で増殖すると、今度はノイラミニダーゼ(NA)というタンパク質を溶かす酵素を出して細胞外に飛び出して周囲の細胞への進入と増殖を繰り返し感染拡大します。
    タミフルやリレンザなどの抗ウイルス薬はノイラミニダーゼの働きを抑えることでインフルエンザウイルスを閉じ込めて拡散を防ぐ「ノイラミニダーゼ阻害薬」です。
    こうした新型インフルエンザに対する危機感から、国の予算によるさまざまな研究がなされています。2010年から日大医学部と歯学部の合同研究チームによって行われている研究もその一つで、注目すべきことは口腔内の細菌の中に(NA)を作りだし、インフルエンザウイルスの増殖を助ける働きをする細菌の存在を確認し、その細菌を使って実験を行ったことです。
    実験でインフルエンザウイルスに感染させた肺の上皮細胞に、(NA)を分泌する口腔細菌の培養液を加えたところ、加えなかった群に比べてインフルエンザウイルス量が20倍以上にも増加していたのです。また、これらの口腔細菌の存在により、抗インフルエンザ薬の働きが弱まることも確認されています。
    その後の研究でジンジバリスという歯周病菌がつくる酵素(ジンジパインRpg)がインフルエンザの感染能力を高めることも突き止められています。
    実験結果から口腔細菌の温床となる歯垢を取り除いて、歯周病菌をできるだけ減少させることがインフルエンザ予防にも有効といえそうです。その際、歯周ポケットの奥など歯ブラシでは届かないところまで徹底的にきれいにする必要があるので、歯科医院での定期的なお口の中のクリーニングをお薦めします。

    中村歯科コラム:歯科医による口腔内クリーニング
  • 身近な飲み物で口臭対策

    歯と健康

    中村歯科コラム:口臭が気になる女性

    口臭が強いのは男性、女性?!

    さきごろ発表された『口臭白書2019年』(歯科医療機器商社モリタ及び歯科医師からなる研究グループ「ブレス・ハザード・プロジェクト」編纂)では口腔内の悩みについて全国4,700人にアンケート調査を行っています。それによるとほぼ9割が口臭について「気になった経験がある」と答えており、とくに男性は口腔内の悩みの第1位に「口臭がある」が堂々のラインクイン、女性の場合は「歯の黄ばみ」「歯石がある」に次いで「口臭がある」は第3位で、「歯並びが悪い」が5位に入るなど審美的な悩みのウエイトが大きいようです。
    さらに20代~60代の男女214人を対象に生体ガス測定器を用いて実際に口臭を測定しています。ほとんどニオイを感じないという基準値を越えてニオイがあった人の比率は男性8.3%に対して女性が17.9%と女性に方が男性の2倍以上にものぼりました。この結果はこれまでの“口臭がきついのは男性”というイメージをくつがえすものとなっています。
    この結果の背景には女性特有の理由があるようです。それは女性ホルモンを好む歯周病菌「プレボテラ・インターメディア」の存在があり、女性ホルモンがこの菌の増殖を促す働きがあり、出血を起こしやすい状態にするということがわかってきました。また、女性ホルモンが減少する更年期は骨粗しょう症が進みやすくなることから歯を支える骨にも影響があり、歯周病が進行するおそれがあります。ですから女性は思春期から更年期も含めて、男性に比べて歯周病のリスクが高い状態にあるといえ、歯周病対策もしっかりとしておかなければいけないということがいえます。

    セルフケアでは治せない口臭

    口臭には起床時や空腹時、食後などに一時的に強くなる生理的な口臭と、消化器や呼吸器の疾患のほか、歯周病など口腔内のトラブルによる病的口臭があります。後者の病的口臭は慢性的に発生するのが特徴で、口臭の抑制には原因となる疾患の治療が先決です。とくに歯周病の場合は治療によって歯肉の炎症を抑え菌の増殖を食い止めることで口臭の発生も抑えることができます。
    最近、口臭対策として注目されている飲み物にココアがあります。ココアはポリフェノールが豊富な抗酸化食品として知られていますが、歯周病対策にも効果を発揮するということがわかってきました。実際に2週間、毎食後にココア(純ココア8gを100mlの水またはお湯を溶かしたもの、糖質ゼロの甘味料を加えても可、飲んだ後1時間はうがいや歯磨きは避けます)の飲用を続けたところ、歯周病関連菌の数及び呼気に含まれる口臭成分(揮発性硫黄化合物の量)がともに減少していることが認められました。ココアの飲用をやめると口臭の強さが元に戻ったことから、ココアが歯周病予防に効果的であることが実証されました。
    紅茶やウーロン茶なども同様の効果が認められるものの、抗菌効果はココアが最も強く、ポリフェノールの含有量も紅茶、ウーロン茶の約4倍と多いので、普段、飲用するならば、ココアがおすすめです。口臭が気になる方は一度、試してみてはいかがでしょうか。

    中村歯科コラム:身近な飲み物ココア
  • 現代人に増えている味覚障害

    歯と健康

    中村歯科コラム:健康な人の舌

    味蕾を大切に

    食事の味にはちょっとうるさい方のことを『舌が肥えている』という表現をしますが、事実、味覚は主に舌の表面にある味蕾という微少感覚器官が感知します。正確には味蕾の中のある味センサーという細胞ですが、味覚は食べ物や飲み物が腐っていないか、害はないかという判断をする重要な役割も果たしています。塩の過剰摂取を防いだり、バランスよく栄養が摂れるのも味覚があればこそ。しかし、現代においてはこの味覚に異変を感じている人が増えているというのですから心配です。
    そもそも人が舌で感じる味覚は甘味、塩味、酸味、苦味、旨味の5種類です。辛味は味覚ではなく、痛みや熱さといった感覚に分類されます。英語のHOTという単語に「辛い」という意味があるのは的を射ているわけです。
    ちなみに旨味は1908年に東京帝国大学教授の池田菊苗氏が昆布出汁からグルタミン酸塩を抽出し、旨味成分であることを発見しました。旨味を感じなくなると食事が美味しく感じられなくなるばかりでなく、食欲が減退して生きる気力さえなくしてしまうことがあるそうですから、影響力は半端ありません。
    こうした味覚の異常は味覚障害といわれ、味覚減退や味覚消失のほかに、自発性異常味覚(なにも食べていないのに特定の味がする)、異味症(そのものの本来の味と異なった味に感じられる)、解離性味覚障害(特定の味覚のみがわからない)、部分的味覚障害(舌口腔内の特定の部位が味を感じない)などがあります。

    高齢者は味蕾の総数が3分の1に減少

    味覚障害の原因は亜鉛や鉄などの微量金属の欠乏のほか、薬の副作用や口腔カンジダ症など細菌の繁殖やドライマウスなどによる唾液量の低下、味蕾細胞の機能不全、糖尿病などの全身性疾患などさまざまあり、いくつかの原因が絡み合って発症することも珍しくありません。
    高齢者の味覚の減退は味蕾の総数が年齢とともに減少するためで、高齢者では新生児の半分から3分の1程度になるといわれています。
    また最近、若い人に増えているのは過度の舌の清掃が原因となるケースです。
    歯科疾患実態調査(厚生労働省2016年)でも「舌の清掃」ついて「行っている」と回答した人は25歳から29歳の世代で多く、男性の約30%、女性は40%近くにのぼります。舌の清掃それ自体はよいことですが、方法次第では味覚障害を招く恐れがあるので気をつけたいものです。舌の表面はデリケートなので硬い歯ブラシではなく、市販もされている専用の舌ブラシで1日1回、優しく表面をなでる程度で充分です。力任せにゴシゴシとすることは避けてください。強くこすると舌の表面が傷ついて炎症を起こし味細胞が破壊されるおそれがあるからです。
    味覚に違和感を生じる場合は、耳鼻咽喉科や内科のほかに歯科でも受診可能です。原因にもよりますが亜鉛の錠剤や唾液分泌を促す投薬により、味細胞は再生され1〜3ヶ月程度で症状が改善される場合が多いので、ご相談をいただければと思います。

    中村歯科コラム:舌用清掃器具
  • 歯列の崩壊を招く欠損ドミノとは

    歯と健康

    中村歯科コラム:奥歯の欠損

    歯の欠損の現状

    現在、あなたには何本の歯がありますか?と聞かれてすぐに答えられる人は意外と少ないのではないでしょうか。差し歯や金属などを詰めた治療済みの歯も含めた本数で、ブリッジや入れ歯になっていて歯根がない部分は除きます。
    永久歯は親知らずの4本を含めると32本ありますが、年齢とともにこの本数が減っていくというのが現実です。平成28年の歯科疾患実態調査によると20本以上の歯を有している人の割合は40~44歳では98%ですが、60~64歳では85%、70~74歳で63%、85歳以上になると25%と、4人に1人だけとなってしまいます。
    歯はできるだけ失いたくないもの。ただ、万が一、1本でも失ってしまった場合にはそのまま放置することだけは回避していただきたいと思います。それ以上、歯を失わないためにも噛み合わせを回復する治療を受けることが大切なのです。それによって将来、残せる歯の本数が大いに違ってくるからです。

    欠損部分はインプラント等で機能回復を

    歯を失った時にまっ先に気になるのは見た目ではないでしょうか。前歯であれば、失った部分が非常に目立つのでそのまま放置する方はほとんどいらっしゃらないでしょう。ただ、奥の方になると大きな口さえ開けなければ大丈夫と思ってそのまま放置してしまわれる方がいるかもしれません。しかし、その判断はたいへん危険なことで、歯を失ったダメージというのは徐々に、しかし確実に現れてきます。
    鏡の前でご自身の歯列を確認してみてください。U字型に配置されていることがわかりますが、この形には意味があって、隣り合う歯が支え合ってこのアーチを維持し歯列の強度を保っているのです。このアーチ型の構造は強度が必要とされる橋や屋根など建築物でよく見ることができます。
    ところが支えている歯が1本でも失われると隣同士で拮抗していた力のバランスが崩れ、アーチ型が維持できなくなります。そのため、タガがはずれた樽のように歯が倒れたり隙間が空いたり、とくに前歯に影響がでると、俗に言う“出っ歯”のようになってしまったりします。
    それだけでなく、挺出(ていしゅつ)といって、欠損歯と噛み合っていた歯が突出するように移動してきます。そのため、長く伸びたように見えるのですが、これは噛み合う相手がいなくなることで本来の位置を維持できなくなるためです。こうなってしまうと元に戻すことが難しくなり、のちに差し歯やインプラントをする際に困難が伴うことになります。
    1本の歯の欠損が隣り合う歯へと次々と影響していき、まるでドミノ倒しのように歯列・咬合の崩壊が進行していくこの“デンタル・ドミノ”を招かないためにも、歯を失ってしまった場合は放置せず、インプラントやブリッジ、義歯など噛み合わせの機能回復のための治療を受けておくことが大切なのです。

    中村歯科コラム:キレイな歯並び

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