治療案内

歯と健康

  • 腸内環境を守るためにも口腔ケアを

    歯と健康

    飲み込んだ歯周病菌が腸まで届いて悪さをする

    飲み込んだ歯周病菌が腸まで届いて悪さをする

    歯周病と全身の健康との関連の研究が進み、口腔内だけの疾患に止まらず、全身疾患に影響を及ぼすことが明らかになってきています。これまでは歯周病菌や歯ぐきの炎症によってできた物質が歯ぐきの毛細血管から血流に乗って全身に散らばることが要因とされてきましたが、腔内の歯周病菌が食道から胃を通って腸内にたどり着いて腸内環境を乱すという研究結果が報告されました。
    歯周病菌も腸に届く前に胃酸で殺菌されてしまうのでは?という疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。確かにほとんどの菌は胃酸で死滅されるのですが、胃酸抑制薬を長期服用されている方やピロリ菌に感染している方、ストレスなどの要因で胃酸分泌が低下したり、さらには水を飲むと胃酸が薄まってしまうために、飲み込んだ細菌の3割程度は大腸まで届くということがわかってきました。

    大腸がんとの関連性も

    腸は“最大の免疫器官”とも呼ばれていて、外敵から私たちの身体を守る免疫細胞の約7割が腸に集中しています。歯周病菌が腸に到達すると外敵が来たと腸の免疫細胞が認識して、歯周病菌を一斉攻撃します。歯周病が進行すると、増殖した歯周病菌を唾液や食物などと一緒に毎日大量に飲み込むことになり、免疫細胞と歯周病菌との抗争も激化し、これが全身の臓器の炎症に、ひいては全身の疾患につながってしまうのです。とくに歯周病菌の中でも強い口臭を起こすことで知られる「フソバクテリウム」という菌は大腸がんの発症から増殖、転移というすべてのステージに関連していることが近年わかってきました。このことから、歯周病治療を適切に行うことで大腸がんの発がん予防や進行を抑制する可能性に期待がもたれています。
    いずれにしろ、歯周病はそのまま放置してよいことは一つもなく、糖尿病をはじめ脳梗塞や心筋梗塞、誤嚥性肺炎などさまざまな全身疾患のリスクが高まります。日頃のケアは就寝前の歯磨きを重視してしっかり歯垢除去を行いましょう。定期的な歯科検診と歯石や歯垢の除去などクリーニングを受けることで全身の健康を守っていきたいものです。

    大腸がんとの関連性も
  • 歯磨きは回数よりもタイミング

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    就寝前が一番大事な理由

    就寝前が一番大事な理由

    歯磨きは口腔ケアの基本ですが、いつ、何分くらい磨くのがベストなのか、といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。具体的な時間は回数については歯科医師によってもバラツキがあり、統一することは難しいのですが、共通していることは回数や時間よりも、大事なタイミングだということです。毎食後という方、あるいは1日数回という方も、一番大事なタイミングは就寝前と覚えておいてください。歯周病菌やむし歯菌は唾液で常に潤っている昼間よりも、唾液の分泌量が減ってしまう就寝中に活発に活動するからです。
    細菌自体は歯に付着したとしても、その多くは唾液で流されてしまいます。しかし、唾液が流れにくい場所に付着するとそこに居座り増殖を始め、徐々に歯垢という固まりを形成します。1㎎の歯垢には1億個以上の細菌が存在しているというのですから、早めに除去したいもの。とくに就寝中には唾液が少なく、細菌が大繁殖しやすい環境が揃っているので、念入りな清掃が必要なのです。フロスなども使って歯と歯の間、歯肉との境を1本ずつ裏表しっかり磨いてください。念入りにブラッシングすると10分以上かかるのではないでしょうか。

    朝一番に歯磨きを

    次に気をつけたいのは起床時です。前の晩にすみずみまで歯ブラシをしたとしても細菌をゼロにはできません。そのため、残った細菌たちが増殖していますから、口腔内を清掃して洗い流しましょう。歯磨きは朝食後という方は要注意です。食事といっしょに口腔内の細菌も飲み込んでしまうと胃を通過して腸にまで達し、腸内環境を破壊するともいわれています。朝、起きがけの水や今、流行の白湯を飲むという方も、必ず歯ブラシを済ませてからにしましょう。

    朝一番に歯磨きを
  • むし歯と糖類の甘い関係

    歯と健康

    むし歯菌はショ糖が大好物

    むし歯菌はショ糖が大好物

    “甘い物を食べるとむし歯になる”とは子どもの頃からよく耳にしてきた言葉ではないでしょうか。この考え方は間違いではありませんが、正確には“むし歯になりやすい”のであって、100%ではありません。なぜなら、甘い物を一切食べなくてもむし歯になる可能性はあるからです。
    そもそも甘いものはなぜ、むし歯の原因となるのでしょうか。それはミュータンス菌に代表されるむし歯菌の性質と関係します。むし歯菌は糖分代謝してエネルギーを得ていますが、そのときに酸を作り出します。この酸によって口の中が酸性に傾くことで歯の表面を覆うエナメル質が溶かされ、やがては歯の本体であるカルシウムやリン酸が溶出して微細な穴ができますが、これが初期むし歯の始まりです。
    むし歯菌は糖の中でも砂糖の主成分であるショ糖(スクロース)が一番の好物で、代謝も活性化して酸もたくさん作り出すため、むし歯になるリスクも高くなるというわけです。そのため、砂糖を多く含むキャンディやクッキーなどの甘いお菓子や飲み物が問題視される理由といえます。ただ、ご飯やうどん、パンなど甘くはありませんが、その主成分であるでんぷんは唾液に含まれるアミラーゼという酵素でマルトースやグルコースという糖に分解されます。これらの糖もショ糖(スクロース)ほどではありませんが、虫歯菌のえさとなるので甘い物に限らず、糖分を含む食べものや飲み物は要注意なのです。

    歯磨きは回数ではなく、精度

    甘い物が好きでも、日頃のケアをしっかりとしていれば、むし歯になることは基本的にはありません。むし歯予防で一番大事なことは歯垢をいかに除去するかにあります。ですから、熱心に時間をかけたり、1日に何回も磨いても、磨き残しがあっては意味がありません。歯磨きをする上で大切なのは時間や頻度ではなく精度といえます。歯ブラシの届かないところはデンタルフロスや歯間ブラシなどを使ってすみずみまでプラークを除去しましょう。プラークチェッカーを使って、プラークを染色して、磨き残したところを可視化することもおすすめします。ベストなのは歯科医の指導の下、正しい歯磨き・ケアの方法を行っていくことです。

    歯磨きは回数ではなく、精度
  • 歯周病対策でがん予防

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    歯周病ががんのリスクを高める可能性

    歯周病ががんのリスクを高める可能性

    歯周病は口腔内だけでなく、全身に影響を及ぼしていることはご存じだと思います。歯周病菌によって歯肉に炎症を起こし、その時に出てくる毒性物質が歯肉の血管から全身に入り、動脈硬化・狭心症・脳梗塞・心筋梗塞、誤嚥性肺炎・糖尿病・認知症などを引き起こしたり、悪化させる原因となります。さらに近年の研究によって胃がんや食道がんのリスクを高めることがわかってきました。
    米国ハーバード大学で女性98,459名、男性49,685名を対象にした1988年から行われた約30年間に及ぶ追跡調査によれば、このフォローアップ期間に食道がんが199症例、胃がんは238症例が報告されています。がんの発症と歯周病の罹患や歯を失っていることとの関係を分析したところ、歯周病になることにより食道がんのリスクが43%、胃がんのリスクが52%高くなることがわかりました。

    食道がんの細胞に歯周病菌発見

    日本の国立がんセンターの調査では、食道がんの細胞からトレポネーマ・デンティコーラという歯周病菌が高い割合で検出されたという報告もあります。その発生のメカニズムには歯周病菌が口腔内から食道粘膜に下りてきた歯周病菌によって炎症が起き、慢性的な炎症によって正常細胞のDNAが傷んで最終的に発がんを招いてしまうというものです。
    慢性的な炎症が要注意なのは、炎症によって発生する活性酸素が悪さをするからです。活性酸素の影響によって遺伝子は変化しないものの、その機能が変わることで細胞のふるまいが変わる現象(エピジェネティックな変化)が起きたり、遺伝子そのものに変異が起こす可能性もあり、がんの発症のきっかけともなってしまうからです。歯周病は30代から60代にかけての有病率が高く、歯周ポケットが4㎜以上と深かったり、出血するなどの歯周病の所見が見られる人の割合は3人に2人といわれています。歯周病は保険診療で検査や治療から手術も受けられるので、まずは歯科医院を受診することをおすすめします。
    歯周病治療を受けることで歯肉の健康が取り戻せるだけでなく、さまざまな疾患のリスクを下げることができます。日々の歯磨き・口腔ケアを見直し、歯科医院での定期検診で全身の健康につなげましょう。

    食道がんの細胞に歯周病菌発見
  • むし歯対策、甘い物は「量」より「時間」

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    寝る前に甘いもの、歯ブラシすれば心配ない?

    寝る前に甘いもの、歯ブラシすれば心配ない?

    寝る前につい甘いものをつまんだり、果物を食べたりした際に、念入りに歯ブラシをしておけば大丈夫、むし歯になる心配はないと思っている方、じつはこれは勘違いです。
    通常、口腔内は弱酸性から中性(pH6.8~7)の状態に保たれていますが、甘いお菓子などを食べると口内が酸性に傾いてしまうのです。歯の表面を覆うエナメル質はpH5.5以下になると急激に溶け出す性質があるため、甘いものを食べて口内がpH5以下になってしまうと歯の表面のカルシウムが溶け出し、初期虫歯のような状態(脱灰)になってしまうのです。日中間は唾液もよく分泌されて通常は2~3時間かけてpHは中性近くまで戻り、脱灰した歯は再びカルシウムを取り入れ修復(再石灰化)されていきます。しかし、就寝中は唾液の分泌量が10分の1にまで減ってしまうため、一度酸性に傾いた状態がなかなか元に戻らず、歯の表面の脱灰が進むため、むし歯のリスクは高まるということなのです。たとえ歯を磨いても酸性の状態は改善しないということが注意点で、だから寝る前に甘い物を食べるのは避けた方が良いのです。

    セルフケアでは磨き残しが2割

    同様のことが間食についても言え食後、唾液による再石灰化が行われている最中におやつなどで再び口の中が酸性になると、せっかくの歯の修復のチャンスが奪われむし歯のリスクが高くなるのです。とくにだらだらと時間をかけて間食するのはよくありません。
    このように虫歯予防には歯磨きだけでなく、食習慣の管理も重要だといえます。食事をしたあとは再石灰化のための時間をしっかり取る、夜、就寝前は食べないというのが理想です。ただ、間食もたまにはしたいという場合は短い時間で食べきり、食後はむし歯になりにくいガム(砂糖成分を含まないキシリトール入り)を噛んで唾液量を増やすなど対策しておきましょう。
    むし歯に予防に甘い物は食べ過ぎないなど「量」を気にする人は多いと思いますが、「時間」の対策の方が大事だということを忘れずに日々の口腔ケアを行いたいものです。

    食習慣の管理も大事

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