治療案内

歯と健康

  • 歯石の科学

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    そもそも歯石とは?

    そもそも歯石とは?

    歯石とは読んで字のごとく、歯の表面に付着してできる硬い石のようなもの。その正体は歯垢に唾液中のカルシウムやリン酸などが結合して石灰化したものです。たとえば、前歯の裏側の歯肉のとの間を見てください。歯石がたまっていませんか。いったん形成されると歯ブラシで取り除くが難しいのでやっかいなだけでなく、石は石でも軽石のように小さな穴がたくさん空いていてそこを住みかに細菌が繁殖して毒素を出すため、歯肉が炎症したり、歯周病の原因となります。
    歯石のざらざらした表面にはプラークもたまりやすく歯周病菌の温床となるので歯石は放置せず、徹底的に除去するに越したことはありません。

    歯石は早めに除去を

    歯石除去はスケーラーという器具を使って行いますが、手用スケーラーのほか超音波スケーラーやエアースケーラーなどがあり、付着した状況や部位等によって使い分けられます。
    歯周病が進行するといわゆる“歯周ポケット”内にも沈着し、細菌が繁殖しやすい環境になるので、ここも特殊な器具で念入りにスケーリングします。必要な場合は「ルートプレーニング」といって、歯石が付着してもろくなってしまった歯根の表面のセメント質や象牙質を除去して歯根面を硬くなめらかな面に仕上げます。さらに歯周ポケットが深くなり奥の方まで歯石が沈着している場合は、目視でのスケーラーでは難しいので歯肉を切開して歯石を取り除く「フラップ手術」が検討されます。
    いずれにしろ、歯周病は“元から断たなきゃだめ”ということで、歯石に付着した細菌ごと徹底的に除去することで歯肉の炎症や出血、腫れなども改善されます。
    ただし、歯石を除去すればそれで安心というわけではありません。その後も丁寧なブラッシングを継続して、歯垢をできるだけ除去するようにしましょう。
    “歯石が付いたから歯科医院に行く”という発想ではなく、歯石が付かないように日頃からしっかりケアを実践することはもちろんですが、定期的に歯科医院での検診とクリーニングを受けて、清潔な口腔内を維持することが大切だといえます。

    歯石は早めに除去を
  • 迫り来る“2040年問題”に向けて

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    『歯科イノベーションロードマップ』とは

    『歯科イノベーションロードマップ』とは

    大阪・関西万博の開幕が4月13日と迫っていますが、膨れ上がる建設費や工事の遅れなどが話題となり、万博のテーマは置き去れたかのようですが、2016年当時、大阪府が発表した構想試案では「人類の健康・長寿への挑戦」がテーマでした。最終的には「いのち輝く未来社会のデザイン」となりましたが、この構想案を受けて、日本歯科医学会では『健康寿命の延伸に貢献する歯科イノベーションロードマップ(工程表)』を作成し、日本の喫緊の課題に超高齢化問題、とくに迫り来る“2040年問題”をいかに乗り越えるか、歯科医療の観点から提案しています。2040年には団塊ジュニア世代(1971年から1974年に生まれた世代)が65歳を迎え、高齢者の割合が過去最大の約35%に達する一方で、生産年齢人口は急減し、日本経済や社会保障の維持が危機的状況に陥るとされるのが“2040年問題”ですが、ネガティブな予測に歯止めをかけようという試みです。
    日本歯科医学会に所属する27の分科会から出された156の歯科の未来技術を結集、その中でもエビデンスがあり、実現性の高いものを吟味し一覧にしています。

    歯科医療の近未来

    具体的にはAI(人工知能)を活用した診断・予防技術の進化のほか、再生医療やバイオマテリアル(ヒトに移植することを目的にした生体材料)の開発による歯科治療の質の向上があげられ、インプラント治療の成功率の向上などが期待されています。
    さらにはデジタル技術の進歩により、歯科医療の効率化はもちろん、より精密で精度の高い治療が期待できるほか、3Dプリンティング技術の普及で治療のカスタマイズ化や高度な審美治療・修復治療の実現可能になります。
    ゲームの世界ではすでにおなじみのバーチャルリアリティ(VR)ですが、このVRを歯科領域に活用することで患者自身が口腔内の状態を体験しながら口腔ケアを学ぶことができるなど体験型の予防法も実現できます。オンライン上での歯科相談や遠隔検診などが普及することで地理的な制約を超えて歯科医療へのアクセスも向上させることができるでしょう。
    未来の歯科医療を予感させるロードマップですが、患者さまにとってより快適に効率的に、負担のない治療の実現に向けて、歯科イノベーションが着実に進んでいることが実感されます。

    歯科医療の近未来
  • 歯ブラシ、交換してますか?

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    歯垢除去率が6割にまで低下

    歯垢除去率が6割にまで低下

    歯磨きは一日2回以上、必ず守ってケアされている方が多いかと思いますが、歯ブラシの交換時期についてはどうでしょうか。いくら丁寧に磨いていても、磨く道具がきちんと機能していなければ、せっかくの努力もムダになるだけでなく、口腔内の健康を損なうことにもつながりかねません。
    歯ブラシは最低でも一か月に1回は新しい歯ブラシに交換しましょう。ブラシの弾力で毛先がしっかりと歯の表面に触れることで歯垢を除去しますが、毛先が広がってしまうなど歯ブラシが劣化すると歯に密着せず、磨き残しができてしまうからです。新品の歯ブラシの歯垢除去率を約100%とすると、毛先が少し開いた状態では80%、かなり広がった場合には60%まで低下するといわれています。
    毛先が広がると歯ぐきを傷つけることや、口腔内の粘膜の層の剥離を招いてしまうケースもあるため早めの交換を心がけたいものです。また、毛先がすぐに広がってしまう方の場合はブラッシングの時の力が強すぎるのかもしれません。歯ブラシを歯に当てたときに毛先が開かない程度の優しい力加減が理想的です。

    歯ブラシを清潔に保つには

    歯ブラシを長く使い続けることは汚れが落としづらくなるだけでなく、衛生上もよくありません。歯磨き後の歯ブラシには食べカスが残りやすく、口腔内の細菌や歯垢などが付着して細菌が増殖するからです。このような汚れた状態の歯ブラシによって口臭や歯周病のリスクが高まるので歯ブラシ自体を清潔に保つことが大切です。
    歯ブラシは使用した後に流水でしっかりと汚れを落とし、とくに根元部分は揉み洗いしてブラシの間に入り込んだ汚れを除去してください。水分をよく切って、風通しのよい所で保管します。家族の歯ブラシを一緒のコップに立てているご家庭もあるかもしれませんが、ほかの歯ブラシとの接触で雑菌が移動するリスクがあるので、個別に保管するようにしましょう。
    歯ブラシは歯の表面の汚れ除去には最適ですが、ブラシが届かない部分、歯と歯の間などの汚れ落としなどは得意ではありません。デンタルフロスや歯間ブラシ、毛束が1つのタフトブラシなどを併用して口腔内の健康を保ちたいものです。

    歯ブラシを清潔に保つには
  • むし歯リスクを高めるネット依存に要注意

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    女子の方がむし歯になりやすい理由

    女子の方がむし歯になりやすい理由

    永久歯のむし歯になるリスクが一番高いといわれる学齢期(満6歳以後の9年間)ですが、富山大学学術研究部医学系疫学健康政策学講座の山田正明准教授、関根道和教授らは2018年に富山県内の4~6年生の小学生13,413名を対象に、むし歯に関する調査研究を行いました。
    “むし歯が多い児童”を治療した歯、あるいは未治療歯の合計が3本以上ある児童として抽出すると、全体の約4分の1の児童がそれに該当し、男女比では女子が27%と男子の24.1%を上回っていました。女子の方がむし歯の割合が多い理由には、女子の方が永久歯の萌出が早いことのほか、生物学的に酸を生成する菌が口腔内に多い、男子の方がエナメル質の強度が強いなどがあげられています。

    メディア利用のルールづくりが必要

    生活習慣との関係では、「朝食を食べない」「遅い就寝」「歯みがき回数が1日1回以下」「家庭でメディア利用のルールがない」「ネット依存」に該当する児童でむし歯の割合が増え、とくに男子ではネット依存、女子では就寝時間が遅くなるにつれてむし歯の割合が階段状に高くなりました。
    むし歯になりやすさと「ネット依存」との関連が注目されますが、むし歯リスクが高くなる理由にはゲームや動画に長時間を費やすことでジュースや甘いお菓子を食べる機会が増えること、さらにはゲームやSNSを長時間利用することによる心理的なストレスや負担などから唾液の免疫機能が低下することなどがあげられています。スマホやパソコンに熱中するあまり、歯みがきがおろそかになる可能性も否めません。
    また、ネット利用に関連して、「メディア利用のルールがない」家庭の児童にむし歯が多い傾向があり、食事やおやつの内容、歯みがき習慣などと同様に、生活全般について親の目が行き届いているかどうかの一端を表しているのではないかと示唆されました。
    むし歯は生活習慣によって防げる疾患です。お子さんのネット利用が当たり前になった今、毎日の朝食摂取、早い就寝、1日2回以上の歯みがきといった規則正しい生活習慣に加えて、家庭でメディア利用のルールをもつことがむし歯予防の一環として重要だといえそうです。

    メディア利用のルールづくりが必要
  • 健康長寿の秘訣

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    2年に1本歯を失う!?

    2年に1本歯を失う!?

    人生100年時代を迎えて、いかに元気で意欲的に過ごすかが重要なテーマとなっています。そんな私たちの命の源として下支えしてくれているのが歯であり、歯ぐきです。歯ぐきが元気でしっかり噛めることが私たちの健康長寿の秘訣といっても過言ではありません。
    日本人が歯を失う原因はむし歯を上回り、歯周病が第1位(2018年に実施の全国抜歯原因調査より)となっています。歯周病は歯ぐきが細菌に感染して炎症を起こし、進行するとともに歯を支える歯肉だけでなく、中の骨である歯槽骨を溶かして、やがてその歯槽骨もろとも歯を失ってしまう病気です。その歯周病に日本人の8割が罹患していて、50歳以降は平均して2年に1本強の割合で歯を失っているという厚生省の調査報告もあり、人ごとではなく、思い当たる方も少なくないのではないでしょうか。
    こうした歯の喪失のリスクを減らすために有効な手立てとされているのが、定期的な歯科検診と口腔内の清掃(必要ならば歯ブラシ指導)といった予防的な処置を受けることです。実際に定期的に歯科検診と歯石除去等を受けた人と、受けなかった人のグループを5年間にわたり経過観察を行ったところ、受けたグループでは1人平均喪失歯数が0.37歯であったのに対し、受けなかったグループの喪失歯数は1.39歯と有意な差が開き、定期検診と口腔内の清掃が歯の喪失防止に重要であることが示唆されました。
    それだけでなく、定期検診によって口腔内のトラブルの早期発見・早期治療できるため、それだけ治療が長引かず、通院も少なくてすみ、経済的な負担も軽減できるメリットがあります。

    継続こそが力

    口腔内のチェックと定期的な清掃に通うことは地道な努力の積み重ねですが、結果的に歯を失うことなく生涯にわたり自分の歯で食事ができるという恩恵がもたらされます。
    「噛む」という行為は脳を直接的に刺激するので認知症予防の可能性が明らかにされています。しっかり噛めば噛むほど脳にたくさんの刺激が伝わり、脳を活性化し、生きる意欲につながります。
    今年も引き続き、歯と歯ぐきの健康を守り、健康寿命を伸ばしていきましょう。

    継続こそが力

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