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歯と健康

  • 気になる舌苔(ぜったい)の正体

    歯と健康

    舌苔の原因は?

    舌苔の原因は?

    舌の表面が白くなっていて気になっている方も多いかもしれません。これは“舌苔”といって細菌や食べカス、口腔内の上皮細胞の剥がれ落ちたものなどが付着して舌表面が苔が生えたように白く変色して見えるものです。
    歯と同様に舌も清掃しないと食べカスや細菌がたまってしまいますが、口腔内が乾燥することも舌苔の原因となります。口呼吸などによって口内が乾燥にさらされると唾液による自浄作用が低下すると同時に、舌の表面に付着した舌苔が乾いて落ちにくくなります。マスク着用時など口呼吸をされている方も増えているので、鼻呼吸に切り替えるようにしましょう。
    さらに注目されるのは口腔内での舌の位置が関係していることです。普段、口を閉じた状態での正しい舌の位置は舌先を前歯の付け根の上に置き、舌全体を吸盤のように口蓋にくっつけるイメージです。舌全体が上あごに接していることで、上あごの粘膜との摩擦で舌の表面の汚れが自然に落ちるのです。しかし、舌先が下の前歯あたりについていて舌の全体の位置が低い低位舌(ていいぜつ)になると、上あごに触れ合わないために舌の汚れが付着したままとなり舌苔がたまりやすいのです。
    比較的年齢の若い方では口呼吸や低位舌が原因になることが多く、ご高齢の方は唾液分泌不全や舌の運動機能の低下が原因になることが多いようです。

    口臭の原因の6割に

    舌苔の清掃方法は基本的にはブラッシングです。市販されている舌専用のブラシを使用して舌の根元(口の奥)から手前(前歯の方向)に向かって3回程度、優しく撫でるようにします。舌の表面はデリケートなので力を入れすぎて傷つけないように注意してください。舌苔がたくさん付いていても1回で取り除こうとせず、日数をかけて少しずつ舌苔を取り除くようにします。
    舌苔は病気ではありませんが口臭の6割は舌苔から発生するといわれるほか、感染症や誤嚥性肺炎を起こすなど二次的な弊害があるので歯ブラシの習慣同様、定期的に汚れを落とすことをおすすめします。ただし、舌の表面は味蕾という味覚を感じる器官もあり傷つきやすいため、過度なケアは逆効果です。1日1回にとどめましょう。

    口臭の原因の6割に
  • 歯周病と全身の健康に関係する理由

    歯と健康

    認知症にも関係

    認知症にも関係

    歯周病は口腔内だけの病気に止まらず、歯周病が悪化すると糖尿病、高血圧、脳血管疾患、心疾患などのリスクが高くなることはよく知られるところとなりました。これは歯周病菌が血液に入り込み、全身を駆け巡ることでさまざまな病気のリスクを高めるためです。
    口腔内の歯周病菌がこうした全身疾患に関与しているということは、にわかには信じがたいことですが、心疾患の患者の動脈硬化を起こしている部分から歯周病菌が多数発見されたことがきっかけとなり研究が進みました。
    歯周病菌の代表的なものがポルフィロモナス・ジンジバリス菌ですが、このジンジバリス菌はほかの細胞内に入り込むことができるため動脈の細胞内に入り込んで慢性炎症を起こし、炎症部分から動脈硬化が始まり狭心症や心筋梗塞を誘発するのです。
    ジンジバリス菌が血液脳関門(脳の血管と脳の組織との物質の行き来を制限する器官)を突破し、脳の中に入り込むとアミロイドβ(蓄積することで認知症の原因となる脳内でつくられるタンパク質)の沈着を促し、アルツハイマー型認知症のリスクを上げます。実際にアルツハイマー型認知症で亡くなった10人中4人の脳からジンジバリス菌が産生する毒素が検出され、さらには記憶に深く関わる海馬からジンジバリス菌の毒素が発見されたという研究報告があります。

    がん発症メカニズムにも関与

    最近では歯周病がすべてのがんの発症リスクを上げることが指摘されています。これまではがんの発症は遺伝子の突然変異が原因だと考えられてきましたが、慢性炎症によってがんの抑制遺伝子が働かなくなることで細胞ががん化することが分かってきました。歯周病菌が血液によって全身の臓器に運ばれそこで慢性炎症を起こすことでさまざまな臓器でのがんのリスクを上げると考えられているのです。膵臓がんについていえば、ジンジバリス菌の保菌者は発症リスクが1.6倍高くなり、アグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンス菌という別の菌の保菌者では2.2倍高くなると報告されています。
    歯周病は歯や歯の土台にダメージを与え、日本人が歯を失う2大原因の一つともなっていますが、歯周病の予防や治療により、がんや認知症など治療が難しい重大病のリスクを減らすことができるのです。自宅での口腔ケアと定期的な歯科医師による健診とクリーニングで全身の健康維持につなげたいものです。

    がん発症メカニズムにも関与
  • 正しい歯磨き方法を再確認

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    知覚過敏の原因にも

    知覚過敏の原因にも

    歯と歯肉の主なトラブルといえば、むし歯や歯周病ですがそれ以外に間違った歯磨きで歯や歯肉を傷つけてしまうことがあるので要注意です。
    「しっかり汚れを落とすためには力を入れてゴシゴシと」「歯ブラシは硬いほうが汚れを落としやすい」という誤った認識があるのかもしれませんが、適正な力の入れ加減は歯の面のブラシを当てたときに広がらない程度の力です。それ以上の力を加えても毛先が広がり清掃効果を下げるばかり、歯や歯肉のトラブルのもとになってしまうのです。
    たとえば歯肉退縮などもそうですが、ブラッシングの際の力の入れ過ぎや乱暴な磨き方、毛先の広がった歯ブラシの使用等が原因となります。そのほか歯肉にVまたはU字型の裂け目(クレフトといいます)ができてしまったり、フェストゥーンといって歯肉の縁がロール状に肥厚するなど歯肉の形態異常を起こしたりします。歯そのものが削れてしまう症例としては楔状(くさび状)欠損があげられます。歯肉と歯の境目にくさびを打ち込んだような三角形の凹みができるのでこう呼ばれますが、原因は強すぎるブラッシング圧や粒子の大きい歯磨き剤の使用などです。最近は歯ぎしりや食いしばりなど強い噛み合わせによって歯茎の境目に負担がかかることも原因の一つとされています。
    楔状欠損は熱心に口腔ケアをされている方にみられるのも特徴的ですが、削れた部分は歯垢(プラーク)がたまってむし歯や歯周病になるリスクが高く、知覚過敏の原因ともなります。欠損した部位が変色して見た目にもよくないので早めの治療をおすすめします。治療法はコンポジットレジンと呼ばれるプラスチックを詰めるのが一般的です。

    正しい磨き方をマスターする

    正しい歯磨きは“正しい歯ブラシの持ち方”をすることが第一歩です。「ペングリップ」と呼ばれる鉛筆を持つ持ち方が推奨されおり、持ち方を変えるだけで自然と強い力が入りにくくなるので歯や歯肉を傷つけなくなります。1本~2本ずつ磨いていく気持ちで歯ブラシを1~2㎜程度の幅で小刻みに動かします。こうすることでプラークが取れやすく、歯ブラシもすぐ広がらずに清掃効果も落ちません。
    歯ブラシの交換時期について迷われる方も多いかと思いますが、取り替えるだけで歯磨きの効率がとても上がるので毎月の交換を目安としてください。正しい磨き方をつねに再確認しながら日々のケアを行いたいものです。

    正しい磨き方をマスターする
  • 人工歯を入れる際の歯の色の選び方

    歯と健康

    加齢によっても色味が変化

    加齢によっても色味が変化

    人工歯を入れる際にはその患者さんに合った歯の色味を決めるのですが、色味の選択はとても難しく、特に前歯の人工歯は人目につくので色が不自然だと気になってしまいます。
    そもそも歯の色ってそんなに違うの?と思うかもしれませんが人によって異なっており、加齢によっても黄褐色へと変色します。これは歯の内部の象牙質が加齢とともに褐色に変化することに加え、歯の表面を覆うエナメル質が薄くなっていくからです。
    人工歯を作る際に「シェードガイド」という色見本を使いながら歯の色を選びます。

    お口全体の印象を確認する

    「シェードガイド」でよく使われているのがドイツのビタ社製のもので、歯の色相をオレンジがかった色(A系)、黄色っぽい色(B系)、グレーがかった色(C系)、赤みがかったグレー(D系)などにグループ分けし、それぞれに明度を3~4段階に分けて16の色相に分類しています。日本人の歯はエナメル質が薄く、その下の象牙質が透けて見えやすいため欧米人に比べて黄色みがかっていて、A3からA3.5にあてはまる人が多くなります。
    色味を選ぶ際に大事なのは全体のバランスだといえます。白い色味を好まれる方が多いと思いますが、白過ぎると隣合う歯に比べて人工歯の色が白く浮いてしまい、不自然で飛び出しているような印象を受けます。逆に隣の歯より暗いと、人工歯が奥に引っ込んでいるように感じられ歯並びも美しくみえません。ですから1本だけを見ずに必ず全体のバランスを見て決めることが大切です。仮歯をつけた時に鏡を離してお口全体の印象を確認するとよいでしょう。
    最近はホワイトニングをされる方も増えていますが、人工歯を作る予定のある場合は先にホワイトニングを済ませて落ち着いてきてから、人工歯の色を合わせるようにします。ホワイトニングでは差し歯を白くすることはできないので、順番が逆になると天然の歯と人工歯に色の差が出てきてしまうからです。
    歯の色味の選択はとても難しく、太陽光や蛍光灯、LEDや白熱灯のもとではそれぞれ色合いが変わってくるということも注意です。人によってよいと思う感覚も違うので歯科医とよく相談しながら決めることをお薦めします。

    お口全体の印象を確認する
  • 歯の汚れ、それはステイン

    歯と健康

    食品の中のポリフェノールが原因

    食品の中のポリフェノールが原因

    1月は新年会などイベントも多く、公私ともに多忙になる方も多いと思いますが、口腔ケアも忘れずにしっかりしておきましょう。改めてご自身の歯をご覧になって歯のくすみや汚れが気になるという方もいらっしゃるかもしれません。この歯のくすみは歯の表面についた着色汚れで、“ステイン”と呼ばれていますが、その原因は食品に含まれる色素によるものと、喫煙や漢方薬やうがい薬の色素などがあります。
    歯の表面はペリクルといって唾液タンパク質の膜ができて歯を守る一方、このペリクルには色素を吸着する性質があるため着色汚れとなってしまうのです。喫煙による歯の黄ばみも同様でタバコに含まれるタールがペリクルと結びついて着色します。タールはもともと黒色なので歯も黒っぽくなってしまうのです。
    ステインになりやすい食品の代表例として赤ワインやコーヒー等がありますが、これらの食品に含まれる色素はポリフェノールといって、植物が紫外線や乾燥、害虫や菌など外的な刺激から身を守るために作り出す色素や苦味・渋み成分です。ポリフェノールは8,000種類以上あるといわれており、色素の濃いものとして赤ワインのアントシアニンのほか、緑茶のカテキン、コーヒーのクロロゲン酸類、カカオに含まれるエピカテキン、カレーのスパイスに使われるウコンのクルクミンなどがあげられます。お茶に多く含まれるタンニンの場合はカルシウムや鉄のような金属イオンやタンパク質などと結びつきやすいので、食品中の色素や有機物を歯の表面に沈着させ、これもまた歯の着色汚れの原因の一つとなります。

    着色汚れになりやすい赤ワイン、コーヒー

    飲み物に含まれるポリフェノールの量(1杯100mlとして換算)を比べると多い順に赤ワイン230mg、コーヒー200mg、緑茶115mg、ココア62mgとなり、とくにワインとコーヒーに含まれるポリフェノールの量が多く、歯に色が着きやすいことも納得できます。
    日々積み重なった着色汚れは歯ブラシでもなかなか落ちません。ですから、ごしごしと強く歯を磨いても汚れが落ちないばかりか逆に歯の表面を傷つけ、その小さい傷から着色汚れが染みてより色素が沈着してしまうことにもなりかねません。
    ステイン予防のためには普段からこまめに歯ブラシをすることと、その際は大きな力を加えず歯ブラシが軽く接触している感覚で磨くことが大切です。歯科衛生士によるクリーニングで落とすことができますので歯科クリニックに定期的に受診されることをお薦めします。

    着色汚れになりやすい赤ワイン、コーヒー

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