歯科コラム

歯科コラム

  • 歯磨きは心疾患を予防する

    歯と健康

    歯磨き1日1回未満は1.7倍のリスク

    歯磨き1日1回未満は1.7倍のリスク

    歯磨きの回数と意外な数値との関連性が報告されています。それはCRP(C反応性タンパク)といって血液中の炎症マーカーの数値ですが、歯磨きの回数が少ないとこの炎症マーカーのレベルが上昇することが複数の研究で示されました。
    CRPは体内で炎症や組織の破壊が起こったときに肝臓で作られるタンパク質で、CRP値が高いほど体内に強い炎症が起きていることを示します。
    イギリスのUniversity College London疫学・公衆衛生学科の研究では35歳以上の男女約1万2千人を約8年追跡調査したところ、歯磨き1日1回未満の人は2回以上の人に比べてCRP値が有意に高く、心筋梗塞などの心疾患になるリスクが1.7倍に高まると発表しています。

    歯周病による慢性炎症が影響

    この研究から歯磨きの回数がCRP値と直接、関係あるわけではありませんが、歯磨きを怠ることで歯垢(プラーク)が蓄積して歯周病が進行し、歯肉が慢性的な炎症を引き起こすことからCRP値に影響を及ぼしていると考えられています。つまり、歯周病によって産生される炎症性物質が血液中に入り込むことで全身のCRPレベルが上昇しているというわけです。
    歯周病による慢性炎症でCRP値が高い状態が続くと心筋梗塞や脳梗塞、糖尿病だけでなく、骨粗しょう症、関節炎、腎炎、メタボリックシンドローム、低体重早産、誤嚥性肺炎などのリスクを高めたり、悪化させる原因となります。
    一方で歯周病を治療して口腔内の炎症が改善されれば、CRP値は低下することが報告されており、全身の炎症状態も改善されて疾患のリスクを低下させる可能性が示唆されています。1日2回以上の適切な歯磨きは歯周病を予防するだけでなく、全身の炎症マーカーであるCRPレベルを低く維持するためにも重要だといえます。
    日常のオーラルケアが将来にわたる健康生活を下支えすることを念頭において、毎日の歯磨きを地道に行っていきましょう。

    歯周病による慢性炎症が影響
  • 現代人の歯並びの乱れの原因は?

    歯と健康

    1万年以上前のある出来事が原因だった

    1万年以上前のある出来事が原因だった

    歯並びの乱れや不正咬合(噛み合わせの悪さ)は多くの現代人が抱える健康問題の一つとされています。そのため、歯列矯正やあごの手術を受ける人も増えていて、審美的な観点からも美しい歯並びを求める傾向が高まっています。
    ただ、人類は最初から歯並びが悪かったわけではなく、古代の人々においては硬い食べ物をよく噛んで食べることが日常的であったためにあごが発達し、歯並びも比較的整っていました。しかし、約1万2000年前に状況が一変します。人類が農耕を始めたことがきっかけでした。それまでの狩猟生活から穀物などの農作物が食事の中心になることで加工された柔らかい食べ物が増えて咀嚼する必要性がはるかに低くなったのです。その結果、あごへの刺激が減少し世代を重ねるごとに下あごが小さくなる一方、歯の本数は変わらないため、歯が並びきらず、重なったり埋まったりする不正咬合が増加したというわけです。この傾向は特に産業革命以降、より顕著になりました。

    遺伝や環境的要因なども複雑に関係

    ただ最近、米スタンフォード大学のチームの研究では「ここ数世紀の人間のあごの変化は、進化によるものとしてはあまりに速すぎる」とし、単に食事や生活習慣だけでなく、遺伝的要因や成長過程での異常、さらには環境的要因なども複雑に関係していると指摘しています。実際に初期人類の化石の中にも歯の埋伏や不正咬合の例が確認されているとのことです。また、上または下の前歯が極端に前に突出する不正咬合は集団の遺伝的要因によるもので産業化とは無関係という例もあります。
    結論としては不正咬合はそれほど単純な話ではなく進化、遺伝、現代のライフスタイルが複雑に絡み合って生じているといえそうです。
    人類が農耕を始め、それまでの硬い肉や繊維質の野菜から、穀物などの柔らかく加工された食品に移行した1万年以上前の出来事が、現代人の歯並びの乱れにつながっているということは確かですが、かといって今から狩猟民に戻ることもできません。現代においてはデンタルIQ(歯に関する知識や口腔衛生に関する認識レベル)を高めつつ、歯ごたえのあるものをよく噛んで食べるという咀嚼筋を衰えさせない食生活を意識して歯と歯肉の健康維持に務めたいものです。

    遺伝や環境的要因なども複雑に関係
  • むし歯にならない水分補給を

    歯と健康

    自販機の誘惑

    自販機の誘惑

    酷暑が続くなか、水分補給に気を配っている方も多いと思いますが、むし歯予防の観点から留意してほしい点があります。それは砂糖入りのジュースなどの甘い飲料をダラダラと時間をかけて飲むことはむし歯のリスクを高めるということです。
    夏場は自販機を利用する機会も増えますが、そこに並ぶ多くの飲料は甘さや酸味が強く、歯のエナメル質にとっては大敵といっても過言ではありません。フタ付きのペットボトルは一気に飲み干すというよりも繰り返し口に運ぶことができるので、口の中の酸性度が維持されやすく、唾液による中和作用も働きにくくなって、むし歯になりやすい環境となってしまうのです。そもそも、甘い飲料水は大量に飲むと糖分の過剰摂取になってしまうため、熱中症対策の水分補給には適さないということをご理解ください。
    無害なのは水とお茶だけといってよく、自販機に占める割合は3分の1以下、自販機の誘惑に打ち勝つのは至難の業です。

    コーラ1本にスティックシュガー20本分の砂糖

    こうした販売されている各種飲料水(無糖の飲料水)には想像以上の糖類(ショ糖、果糖)が含まれていて、コーラ500mlには61.0g、オレンジシュース(濃縮還元タイプ)500mlには55.0g、スポーツドリンク500mlには25.5g、と実に多く、1本3g入りのスティックシュガーに換算すると、コーラは約20本分、オレンジジュース約18本分、スポーツドリンク8.5本分と驚くばかりです。「一日の砂糖摂取量は25gまでに制限すべき」というWHO(世界保健機関)のガイドラインをいずれの飲料も1本で軽く超えています。
    とはいえ、甘いものは人生を豊かにする楽しみの一つでもあるので、完全に排除するのではなく、適切な飲み方、食べ方を選ぶことでむし歯のリスクを下げることが可能です。自販機での買い物は水やお茶だけにして、ジュースなどの甘い飲料は食事や間食のときだけに制限して飲むべしというアドバイスもあります。お菓子なども同様でしが、要はだらだらと食べ続けないで、必ず口を休ませる時間を持ちましょう。甘いものとのお付き合いはメリハリをつけた飲食をおすすめします。

    コーラ1本にスティックシュガー20本分の砂糖
  • 予防歯科はメリットだらけ

    歯と健康

    歯周病ポケットの発生を予防

    歯周病ポケットの発生を予防

    定期的な歯科健診や歯石除去などの歯のクリーニングを奨励していますが、こうした予防歯科に関して大規模な調査研究が行われました。調査を行ったのは歯磨き用品でおなじみのライオン(株)で、年間2万人以上が健康診断を受ける日本IBM健保のデータを10年間にわたり分析しました。
    日本IBM健保では歯科医師による歯周病のチェック及び歯科衛生士によるセルフケアのアドバイス等による独自の歯科予防プログラム「p-Dental21」を実施しています。今回の調査ではこの歯科予防プログラムへの参加が2回以上を「高頻度群」、1回以下を「低頻度群」として比較しています。
    まず、歯周病について歯周ポケット(4㎜以上)の発生までの時間を比較したところ、「高頻度群」が「低頻度群」と比較して歯周ポケットが新たに発生するまでの時間が有意に長いことが示されました。つまり、予防歯科に熱心なグループの方が、歯周ポケット発生のリスクが低いということです。

    歯科医療費も軽減

    歯科にかかる医療費(2014年から2023年までの累積)については、歯周ポケット4mm以上群は4mm未満群よりも約4万円高い医療費がかかっていることが確認されました。「噛む状態」についての比較では「噛みにくい」群は「噛める」群よりも約3万円高く歯科医療費を支払っていることが明らかになりました。歯や歯ぐき、噛み合わせ等に気になる部分があると口腔内のトラブルにつながりやすく、歯科にかかる結果となり医療費もそれだけ増えるのではないでしょうか。ちなみに「噛める」群は「何でも噛んで食べることができる」と回答したグループで、「噛みにくい」群は「噛みにくいことがある」、または「ほとんど噛めない」のいずれかを回答したグループです。
    生活習慣の変化では歯科予防プログラム参加群では喫煙者の減少と運動習慣の増加が見らました。
    今回の調査結果から予防歯科によって歯周病重症化予防はもちろん、生活習慣改善や健康増進、さらには歯科医療費軽減まで実現できる可能性が示唆されており、その重要性が再認識された形となりました。日頃の丁寧な歯ブラシはもちろん、定期的な歯科健診とクリーニングを引き続き受けられて健康増進につなげていきましょう。

    歯科医療費も軽減
  • 子どもの肥満、その原因は?

    歯と健康

    噛む能力と関連性が示唆

    噛む能力と関連性が示唆

    子どもの頃に「よく噛んで食べなさい」といわれた方も多いと思いますが、親にしてみれば、しっかりと噛みしめて味わって食事をいただくというしつけの一環でもあったのでしょう。実際に食事の仕方やよく噛むことが子どもの健康にどのような影響を与えているのか、とくに肥満との関係を調査研究したのが大阪大学大学院歯学研究科のグループで、大阪市の小学校4年生1,403人を対象に大規模調査を行いました。咀嚼能力(食べ物を細かく噛む力)については咀嚼検査用の色付きのガムを1分間噛んで、咀嚼後のガムの色の混ざり具合や唾液の出方などを専用のアプリで解析しています。
    調査結果は全体のうち167人、約1割強の子どもが肥満と判定されました。「噛む能力が低い」場合はそれ以外の子どもたちと比べて、肥満になりやすさは1.50倍、「早食い」の子は1.73倍、「口いっぱいに入れて食べる」子が1.29倍でした。とくに「早食い」と「噛む能力が低い」の両方の項目に当てはまる子どもは男女とも肥満との関連性が強く、特に男児で3倍と顕著でした。

    歯並びや噛み合わせのチェックも大切

    子どもの肥満について、その原因として「早食い」や「口いっぱいに食べる」などの食べ方や咀嚼能力が影響すると考えられてきましたが、実際に肥満との関連を調査した研究はほとんどありませんでした。今回はその点が明らかにされ、学童期に咀嚼能力が低い場合や「早食い」や「口いっぱいに食べる」という食事の仕方によって、肥満になりやすいことを世界で初めて明らかにしたといえます。
    近年、硬い食べ物を噛めない、あるいはうまく飲み込めないなど咀嚼や嚥下の機能に問題を抱える子どもも多くみられ、成長や健康維持への影響が懸念されています。とくに肥満については食事内容やカロリーの摂取量の留意はもちろんですが、しっかりと噛んで食べることが子どもの健やかな成長にいかに大切であるかについて納得するところだと思います。噛む機能を高めるためにも歯並びや噛み合わせが悪い場合は矯正治療等で対応する必要があるので、子ども時代から定期的に歯科検診に通うことをおすすめします。

    歯並びや噛み合わせのチェックも大切

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