予防歯科はメリットだらけ

歯周病ポケットの発生を予防
定期的な歯科健診や歯石除去などの歯のクリーニングを奨励していますが、こうした予防歯科に関して大規模な調査研究が行われました。調査を行ったのは歯磨き用品でおなじみのライオン(株)で、年間2万人以上が健康診断を受ける日本IBM健保のデータを10年間にわたり分析しました。
日本IBM健保では歯科医師による歯周病のチェック及び歯科衛生士によるセルフケアのアドバイス等による独自の歯科予防プログラム「p-Dental21」を実施しています。今回の調査ではこの歯科予防プログラムへの参加が2回以上を「高頻度群」、1回以下を「低頻度群」として比較しています。
まず、歯周病について歯周ポケット(4㎜以上)の発生までの時間を比較したところ、「高頻度群」が「低頻度群」と比較して歯周ポケットが新たに発生するまでの時間が有意に長いことが示されました。つまり、予防歯科に熱心なグループの方が、歯周ポケット発生のリスクが低いということです。
歯科医療費も軽減
歯科にかかる医療費(2014年から2023年までの累積)については、歯周ポケット4mm以上群は4mm未満群よりも約4万円高い医療費がかかっていることが確認されました。「噛む状態」についての比較では「噛みにくい」群は「噛める」群よりも約3万円高く歯科医療費を支払っていることが明らかになりました。歯や歯ぐき、噛み合わせ等に気になる部分があると口腔内のトラブルにつながりやすく、歯科にかかる結果となり医療費もそれだけ増えるのではないでしょうか。ちなみに「噛める」群は「何でも噛んで食べることができる」と回答したグループで、「噛みにくい」群は「噛みにくいことがある」、または「ほとんど噛めない」のいずれかを回答したグループです。
生活習慣の変化では歯科予防プログラム参加群では喫煙者の減少と運動習慣の増加が見らました。
今回の調査結果から予防歯科によって歯周病重症化予防はもちろん、生活習慣改善や健康増進、さらには歯科医療費軽減まで実現できる可能性が示唆されており、その重要性が再認識された形となりました。日頃の丁寧な歯ブラシはもちろん、定期的な歯科健診とクリーニングを引き続き受けられて健康増進につなげていきましょう。

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