子どもの肥満、その原因は?

噛む能力と関連性が示唆
子どもの頃に「よく噛んで食べなさい」といわれた方も多いと思いますが、親にしてみれば、しっかりと噛みしめて味わって食事をいただくというしつけの一環でもあったのでしょう。実際に食事の仕方やよく噛むことが子どもの健康にどのような影響を与えているのか、とくに肥満との関係を調査研究したのが大阪大学大学院歯学研究科のグループで、大阪市の小学校4年生1,403人を対象に大規模調査を行いました。咀嚼能力(食べ物を細かく噛む力)については咀嚼検査用の色付きのガムを1分間噛んで、咀嚼後のガムの色の混ざり具合や唾液の出方などを専用のアプリで解析しています。
調査結果は全体のうち167人、約1割強の子どもが肥満と判定されました。「噛む能力が低い」場合はそれ以外の子どもたちと比べて、肥満になりやすさは1.50倍、「早食い」の子は1.73倍、「口いっぱいに入れて食べる」子が1.29倍でした。とくに「早食い」と「噛む能力が低い」の両方の項目に当てはまる子どもは男女とも肥満との関連性が強く、特に男児で3倍と顕著でした。
歯並びや噛み合わせのチェックも大切
子どもの肥満について、その原因として「早食い」や「口いっぱいに食べる」などの食べ方や咀嚼能力が影響すると考えられてきましたが、実際に肥満との関連を調査した研究はほとんどありませんでした。今回はその点が明らかにされ、学童期に咀嚼能力が低い場合や「早食い」や「口いっぱいに食べる」という食事の仕方によって、肥満になりやすいことを世界で初めて明らかにしたといえます。
近年、硬い食べ物を噛めない、あるいはうまく飲み込めないなど咀嚼や嚥下の機能に問題を抱える子どもも多くみられ、成長や健康維持への影響が懸念されています。とくに肥満については食事内容やカロリーの摂取量の留意はもちろんですが、しっかりと噛んで食べることが子どもの健やかな成長にいかに大切であるかについて納得するところだと思います。噛む機能を高めるためにも歯並びや噛み合わせが悪い場合は矯正治療等で対応する必要があるので、子ども時代から定期的に歯科検診に通うことをおすすめします。

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