歯科コラム

歯科コラム

  • 長引く口内炎は要注意。年1回の口腔がん検診で早期発見

    歯と健康

    メディアでも注目され始めた口腔がん

    最近、芸能人の方が自らの舌がんを公表されたことから、舌がんをはじめとする口腔がんについてメディアなどでも取り上げられる機会が増えました。
    確かに口腔がんについての認知度は低く、関心のない方も多かったと思います。ただ、日本で年々患者数が増えており、口腔がん・咽頭がんも含めた患者数は1975年の2,450人から2013年には1万9,000人とほぼ8倍に急増しています。先進国の中で唯一、口腔がんの死亡数が増加している国もありその対策が急務だといえます。
    以前は喫煙率やアルコール摂取率の高い60代以上の男性に多いといわれていましたが、最近では発症年齢も低年齢化し、男女比も3対2くらいに女性の比率が高まっています。
    真の原因は未解明ですが発症誘因としては喫煙、アルコール、刺激物の摂取、ウイルスのほか、入れ歯の不具合など慢性的に口腔内が傷つくなどの機械的な刺激についてもいわれています。

    認知度が低く、発見が遅れるケースも

    口腔がんには「舌がん」「歯肉がん」「口腔底がん」「頬粘膜がん」などがあり、その中で一番多いのが舌がんです。口腔がんは早期発見による治療で生存率が非常に高まります。実際にアメリカでは歯科医院での定期的な口腔がん検診が浸透しており、早期発見により死亡率が激減しています。検診では「視診・触診」と合わせて口腔内蛍光観察装置を導入することで発見率を高めています。というのもそれまで医師の目視だけでは見落としがあり、訴訟に発展したケースが多かったという背景があるようです。
    日本ではまだまだ口腔がんへの認知度が低く、口内炎や歯肉炎だと思い込んで放置してしまい、発見が遅れるケースも少なくなくありません。ですから、普段から定期的にセルフチェックを行うとともに、年1回の口腔がん検診が推奨されています。とくに2週間以上治らない口内炎があったり(初期の場合は痛みがありません)、口腔内の粘膜に赤と白の色調変化があったり、しこりなどを見つけたらすぐに歯科医院か口腔がん検診を実施している機関を受診することをお勧めします(口腔がん撲滅委員会「口腔がん検診・口腔健診」実施医院参照)。
    口腔がんの治療は手術、放射線療法、化学療法(抗がん剤)が3本柱ですが、手術による切除がもっとも有効です。進行したがんになると舌やあごの骨などを切除する大きな手術となり、後遺症として食べることや話すことに支障をきたすなど生活の質(QOL)が大きく低下せざるを得なくなる場合があります。そうならないためには早期発見がいかに大切かということがいえます。
    初期のうちの口腔がんであれば5年生存率は90%を上回るという報告もあります。普段から歯科医での定期検診を受けることはむし歯や歯周病だけでなく、口腔がんの早期発見という面から非常にメリットが大きいといえます。

  • 咀嚼するだけではありません。歯の意外な役割に注目!

    歯と健康

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    犬歯はあごの位置決めにも貢献する

    私たちの健康にとって歯がとても大切な働きをしていることは皆さんよくご存知の通りです。食べ物を咀嚼して消化を助けるということです。ただ、歯の役割はそれだけではありません。
    とくに犬歯はほかの歯にはない特別な役割を担っています。その形からして先が尖っていて鋭く、異彩を放っていますが、犬歯は分類、前歯に含まれます。その位置がちょうど前歯と奥歯の境界(分岐点)にあることから、上あごと下あごが正しく噛み合うようにガイドする働きをしています。噛み合わせのズレなども犬歯によって常に正しい位置に誘導されて正しい位置に戻すことができるというわけです。
    実際に口を閉じた状態で下あごを左右にずらしてみてください。両側の犬歯当たってそれ以上ずらすことはできないはずです。同時に犬歯が当たることで、奥歯や前歯は浮いて離れるので接触することはありません。じつはこの状態が犬歯の重要な働きを物語っています。
    じつは奥歯などは歯ぎしりのような横に揺さぶられる動きには弱いのですが、犬歯がそうした横からの力を受け止めることで、奥歯や前歯を守っているのです。犬歯の歯根は永久歯の中でも最も長く、頑丈にできているので横からの力にも強く、縁の下の力持ち的な存在だといえます。
    こうした重要な働きをする犬歯がなくなると、噛み合わせの位置が定まらなくなるばかりでなく、下あごの位置が不安定になってしまいます。

    犬歯を失った場合はインプラントがお勧め

    犬歯は審美的にも重要な歯で、犬歯の尖った形が歯列にアクセントを加えています。もし犬歯がなければ、歯列が平板な印象となり、口元の美しさは半減してしまうでしょう。
    万が一、むし歯や歯周病などで犬歯を失った場合にはそのまま放置せず、ブリッジや部分入れ歯、インプラントなどですぐに補完しておくことが大切です。このことは犬歯に限ったことではありませんが、とくに犬歯の場合は下あごの位置決めや横揺れのストッパー役など負担が多くかかる歯なので、人工歯根のあるインプラントがお勧めだといえます。と言うのは、インプラントは人工歯根により隣接する歯のお世話にならずとも自立するので、周囲の歯にダメージを与えず歯の寿命を伸ばすことに貢献するからです。
    インプラントは見た目も自然で美しい仕上がりとなるため、審美的な面からもお勧めだといえます。

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  • 歯を失う意外な原因「歯根破折とは」?

    歯と健康

    歯を失う2大原因といわれるのはむし歯、歯周病であることは皆さんもご存知だと思います。ただ、むし歯もなく、歯周病の予防もしっかりされているという方でも、思わぬことから歯を失ってしまうことがあります。それは歯が割れたり、折れたり、あるいは歯根にひびが入ってしまうことが原因となります。このようにクラックを生じた歯を破折歯といいます。
    ちなみに日本では歯を失う原因の3番目が、破折となり全体の11%です。スェーデンでは破折歯による抜歯がダントツの1位(62%)となっています。予防歯科が進み、むし歯や歯周病で歯を失うことはまれなため、破折歯が1位に押し上げられているといえます。
    硬い歯になぜびびが?と思うかもしれませんが、意外にも身近に歯がもろくなってしまう原因があるのです。

    神経を抜いた歯はもろくなる

    “神経を抜く”という治療を受けたことがある方も多いと思います。歯内療法(歯根治療)といいますが、むし歯が進行して歯の深部までおかされてしまった場合には歯の中心部を通る歯髄(この部位が一般的に神経と呼ばれている)という組織を取り除き、むし歯の進行を食い止める治療です。治療をした歯根に土台を立ててかぶせ物をすることで再び噛めるようになりますが、歯髄を取り除いてしまうと、歯に栄養や水分などを送ることができないため、いわば“枯れ枝”のような状態になります。枯れ枝が折れやすいように、歯髄を除去した歯は破折しやすいといえます。

    注目される破折歯の接着治療

    破折歯は抜歯の対象となるため、通常は抜歯をしてブリッジや義歯、インプラント治療が適応されますが、最近は抜歯を回避する新たな治療法が開発されています。生体親和性の高い(人体に害のない)接着剤によって接着する方法がそれで、接着剤の進歩などにより可能になっています。この治療法はひびの部分に接着剤を流し込み、修復をするという方法です。また、破折の度合いが大きい場合は破折歯を抜歯していったん取り出し、歯を接着してから口腔内に戻すという再移植という方法もあります。
    今後はその成功率をいかに高めていくか等課題もありますが、初期の段階であれば温存できる可能性は大きいといえます。破折してから時間が経てば経つほど治療が難しくなるので、早期発見早期治療が重要です。
    歯根にひびが入るとひびの部分から細菌が入って歯の歯ぐきが腫れたり、痛みがでて歯科医を受診しレントゲンを撮って初めてわかるケースも少なくありません。ただ、割れはじめは微細なため、自覚症状はもちろん、CTなどでもわかりにくいことがままあります。虫歯や歯周病と歯根破折を併発していることもあるため、定期健診により専門医によるチェックを受けておくことがなにより大事だといえます。

  • 1年の締めくくりに、口腔ケアの見直しを

    歯と健康

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    年の瀬ともなるとなにかと気ぜわしい時期ですが、お口の中のケアも忘れずに行いたいものです。家の中の大掃除と同様、お口の中も普段から汚れをためず、こまめにお掃除をしておことが肝心です。普段の歯ブラシの習慣こそが歯周病、むし歯予防の第一歩ということで、年の締めくくりに今一度、見直してみましょう。

    磨いたあとすすぎ過ぎるのはNG?

    食べたらすぐ磨くのがいいのか、それとも時間をおくのがいいのかということは悩ましいところですが、一般的には口の中に残っている糖質を早く取り除くという意味で食べたらすぐに磨くことをお勧めします。細菌は糖質を分解して酸を発生させ、その酸によって歯のエナメル質が溶け出します。ですから、そのもとになる糖質をできるだけ口の中に残しておかないという意味ですぐに磨くことが推奨されます。
    細かいことですが、磨く前になにげなく歯ブラシを水で濡らしているという方が多いと思うのですが、これは意外にもNGです。水で塗らすことですぐに口の中に泡が広がり、十分ブラッシングをした気分になってしまうからです。実際に磨く時間も短くなるという調査結果も出ており、磨き残しの原因となるため、濡らさずに磨くことをお勧めします。
    そのほかの歯磨きの際のNGとしては、磨いたあとすすぎ過ぎないということがあります。フッ素の配合された歯磨き粉の場合はとくにフッ素の効果まで洗い流してしまうためで、10cc程度の水で十分といわれています。
    歯ブラシの交換時期についても1日3回磨く方であれば、1か月使えばほぼ交換時期となります。清潔さを保つことと、汚れを落とすという機能性を維持するためで、歯ブラシの毛先が広がってきた時にはすでに交換時期とお考えてください。毛先が広がりやすいという方は力を入れ過ぎている可能性があります。ペンを持つ握りで歯ブラシを支えて、軽い力で小刻みに磨きます。

    歯間専用のブラシやデンタルフロスは必需品

    磨き残しをなくすという意味では、歯ブラシだけでは歯の間など磨きにくいところがあるため、デンタルフロスや歯間ブラシの出番となります。歯の隙間の幅に応じてデンタルフロスや歯間ブラシを使い分けてお掃除します。歯間の清掃効果として歯ブラシだけだと60%弱のプラークしかとれませんが、歯間ブラシやデンタルフロスを使えば90%以上の汚れが除去できます。それでも100%は除去できないので、歯科医院での定期健診、定期クリーニングが必要になるのです。お口の中の大掃除のようなものといえますが、お口の中は年に1回では間に合わず、3か月に1回のペースが目安です。
      このようにして歯についたプラークをすみずみまで除去することで、むし歯や歯周病を未然に防ぎお口の中の健康を将来にわたって維持していくことにつながります。
    年末年始は歯科医院もお休みとなりますのでお口の中のトラブルがある方は早めに対処しておきましょう。

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  • あとあと後悔しないためにも定期健診のススメ

    歯と健康

    歯科医院とはふだんどうようなお付き合いをされているのか、その現状がよくわかるタイムリーな調査が発表されました。日本歯科医師会が実施している「歯科医療に関する一般生活者意識調査」で、全国の15〜79歳男女1万人を対象に 2018 年4月に行われ、11月8日の 「いい歯の日」に発表されました。2005 年からほぼ隔年で実施されており、今年は「歯の治療の先延ばし意識と実態」と「歯の治療に対する後悔」について焦点を当てています。
    「先延ばし派」とはどちらかというと先延ばしする、あるいはギリギリまで対応しないという傾向をいい、 一方の「対応派」は気になり始めたらすぐに対応する、あるいはどちらかというと先に片付けておきたいという傾向が当てはまります。

    歯科受診はついつい先延ばしにしがち

    この調査で最も驚かされたのは歯科受診・検診について、先延ばし派が52.7%と対応派(47.3%)を上回ったことです。日常生活での行動全般では対応派が73.4%、健診や人間ドックなどの健康管理でも52.7%と対応派の方が多いのにも関わらず、歯科受診・健診となるとつい足が重くなってしまう人がまだまだ半数以上いらっしゃることがわかります。
    先延ばし派の割合が最も多い世代は意外にも20代(60.5%)で、その20代の先延ばし派の悩みは上位から「歯の色が気になる」「歯並びが気になる」「歯と歯の間にものがはさまる」「口臭がある」「歯が痛んだり、しみたりする」「歯石がたまっている」「歯ぐきから血がでたり、歯がぐらぐらする」等があげられています。確かに対応派の半数以上が口腔内の状態について「健康だと思う」のに対して、先延ばし派は「健康だと思わない」という回答が63.2%というのもうなづけます。

    4人に3人は「もっと早く治療しておけば」と後悔

    歯の治療に対する後悔については4人に3人(75.7%)が「もっと早くから歯の健診や治療をしておけばよかった」という気持ちを抱いており、これに関しては先延ばし派( 76.0%)も対応派(75.3%)それほど違いはありません。ただ、高齢になるに連れてその後悔度は先延ばし派で高まります。男女別では女性の方が後悔の割合が高く、これは見た目との関係が大きいためでしょう。口元の美しさはアンチエイジングにも直結しており、50代後半が後悔のピークになっていることからもそれがうかがえます。
    先延ばしにしたツケは年齢とともにさまざまなトラブルとなって噴出してくるといえます。“後悔先に立たず”といいますが、口腔内の健康についてもすぐに対応する派に軍配が挙がると言わざるを得ません。後手後手に回るとそれだけ余計にお金も時間も費やされ、歯を失うリスクまで高くなるからです。
    これ以上後悔しないためにも、定期健診がまだの方は予約の電話を入れることお薦めします。定期健診で普段の悩みなどいろいろ相談されることで歯科医院との距離感が一気に縮まること請け合いです。

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