歯科コラム

歯科コラム

  • 縁の下の力持ち、唾液の不思議パワー

    歯と健康

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    むし歯予防に唾液の力

    むし歯や歯周病予防に欠かせないものとして、毎日の歯磨きと歯科医院での定期検診があげられます。そしてもう一つ、忘れてはならないのが唾液の存在です。日頃からお世話になっていながらあまり気にとめることのない存在ですが、じつは私たちの気づかない部分でむし歯予防をはじめ、私たちの健康を支えてくれています。
    唾液にはアミラーゼという消化酵素が含まれていて、でんぷんを分解する働きがあり、消化を助けていることは皆さん、ご存じの通りですが、唾液のもつ作用はそれだけはないことがわかってきました。
    食後の口の中は酸性に傾いているため、むし歯になりやすい状態にあります。それは歯の表面を覆うエナメル質は酸性に弱く、pH5.5以下になると溶解し始めるからです。歯が溶けることを脱灰といいますが、脱灰が続くとついにはエナメル質の歯に穴が開いて、いわゆる初期段階のむし歯となります。
    ただ、このときにすぐにむし歯にならないのは唾液に口の中の酸性中和させる働きがあるためです。それだけでなく、初期の微細なむし歯であれば、唾液の中に含まれるカルシウムやリンなどが歯の表面に取り込まれる“再石灰化”という現象が起き、エナメル質の表面を修復してくれます。
    唾液は口の中を洗い流して衛生的に保つだけでなく、歯の再石灰化を促すなど、普段から歯を守ってくれているのです。

    よく噛めばアンチエイジング効果も倍増

    唾液の中にはまだまだ有用な成分が含まれていることが報告されています。 “若返りのホルモン”のパロチンや、EGF(上皮成長因子)とよばれるたんぱく質などもそうです。EGFは皮膚の若返り作用があるというので、 最近ではEGF配合の化粧品が開発されているほどです。
    そのほか、“天然の抗生物質”と呼ばれるタンパク質やがん予防の酵素も含まれていて、さまざまな病原菌の感染やがんから私たちを守ってくれている大切な存在といえます。
    唾液は頬やあごの内側にある唾液腺から分泌されますが、噛むという刺激で分泌が促されます。ですから、食事を抜いたり、よく噛まなかったりすると唾液がよく分泌されません。また、ストレスなどによって交感神経が優位になると唾液の分泌が低下します。
    ですから、ストレスはできるだけためないようにして、三食をきちんとよく噛んで食べることが大切だといえます。むし歯予防、歯周病予防になることはもちろん、病気知らずで若々しい人生を過ごすことができるでしょう。

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  • 噛むことは健康の源

    歯と健康

    食べることは生きていくうえで基本的なことであり、お腹を満たすことは心が満たされることでもあり、人生の幸福感の源でもあるといえます。その幸福を支えているのが歯であり、“噛む”という日常、当たり前のようにしている動作だといえます。よく調べると、噛むということは実に奥深く、心身ともに健康であるために意味のあることだということが再確認できます。

    噛むことで脳を刺激し、活性化します

    “噛む”という動作は、あごの関節の筋肉をはじめ舌や頬、唇、喉などたくさんの筋肉が協調して行われる一連の運動です。このときの脳の働きを調べると、脳の運動野や感覚野、視床、小脳、口やあごからの情報が伝達される部位などに広い範囲が活性化していることがわかります。噛むという動作は大きな動作ではありませんが、脳の広い範囲を刺激し、活性化しくれ働きは大きいといえます。

    認知症予防にも期待

    私たちの記憶をつかさどる脳の部位に海馬とよばれる部位がありますが、加齢とともにしだいに萎縮するといわれています。しかし、よく噛むことで海馬の神経細胞の数が回復し、活性化が増強されることがわかってきました。そのため、噛むことによる認知症予防にその改善に大きな期待がもたれています。
    噛むといえば、大リーグの野球選手が試合中にガムを噛んだり、ときにはぷーっと膨らませたりする姿を見うけられます。不謹慎と思われる方もいるかもしれませんが、スポーツ選手が試合中にガムを噛むのは理由があってのことです。噛むというリズミカルな刺激が脳への血流を促し、緊張感を和らげてくれるのです。さらに判断力や集中力が増し、心拍数も上がり過ぎず安定にするのだそうです。ここ一番でガチガチに緊張して失敗したりしないよう、その選手なりの工夫といえます。

    やる気スイッチもオンに

    このように噛むことにはストレスを緩和すると同時に集中力をまし、やる気スイッチをオンにしてくれる働きがあります。
    最近の研究では食事をする前にガムをよく噛むと内臓脂肪のほか皮下脂肪が減少し、体重が減ることが実験でも確かめられています。さらに内臓脂肪から分泌される善玉物質が増え、悪玉物質が減りました。そのほか血糖値の上昇がゆるやかになり、摂取エネルギーが減るということも報告されています。
    よく噛んで食べることは満腹中枢が刺激されて食べ過ぎを抑える効果もあります。
    このように噛むことは生活習慣病の予防にもなり、しかもお金も一切かからないダイエット法にもなるなど、いいことづくめなのです。
    今日から、食事は急がずゆっくりと、よく噛んで味わって食べることから始めましょう。

  • 歯周病とインプラント

    歯周病のこと

    若年層にまで感染が拡大する歯周病

    歯周病は30代以上の人の約8割がかかっているといういわば、国民病ともいえる病気です。最近では小学生の約4割が歯周病に罹患しているという調査報告 (厚生労働省平成23年歯科疾患実態調査、歯肉に所見のある者の割合)もあり、いまや中高年だけでなく、若年層にまで感染が拡大している病気といえます。
    身近な病気であるだけに、それほど深刻に受け止めない方も多いかもしれませんが、歯周病はむし歯とともに日本人の歯を失う2大原因となっている怖い病気なのです。

    “歯周病は万病のもと”!?

    歯周病はむし歯とは違って、歯そのものの病気ではなく、歯肉や歯槽骨といった歯周組織が細菌によっておかされる感染症です。その原因となるのが細菌の塊であるプラークです。プラークとは歯の表面についている白いネバネバしたもので、歯周病はこのプラーク中の歯周病菌が歯肉を攻撃することから始まります。生体側では白血球による防御反応が起こり、歯肉が赤く腫れたり、出血を起こしたりします。歯周病菌は歯肉と歯の隙間に入り込んで歯周ポケット(歯と歯肉の間にできる隙間)を形成します。歯周病菌は奥へ奥へと入り込んで酸や毒素を出して歯周組織を破壊するため、歯周ポケットはしだいに深くなっていきます。同時に、歯周病菌の出す毒素は破骨細胞を活性化させて歯の土台となる歯槽骨を溶かしていくのです。症状がさらに進むと、歯がぐらぐらになっていき、最終的には抜歯をせざるを得なくなってしまいます。
    歯周病は “サイレントディジーズ(沈黙の病気)”ともいわれ、自覚されにくいという点でも怖い病気といえます。
    最近は、歯周病は口腔内だけに止まらず、全身の健康に深く関係していることもわかってきました。歯周病菌や炎症物質が歯周組織の血管を通して全身に運ばれるためで、心臓病や脳梗塞のリスクを高めたり、糖尿病を悪化させるほか、誤嚥性肺炎、低体重児出産・早産などの原因にもなるといわれています。さらには骨粗しょう症、腎炎、関節炎、発熱、肥満などとの関連も疑われており、まさに“歯周病は万病のもと”といっても過言ではありません。

    “インプラント周囲炎”の対策は万全に

    現在は歯を失った方のためにインプラント治療が確立されているのはご承知の通りです。すでに多くの方がインプラント手術をされて快適な生活を送られていますが、忘れてならないのは定期的な検診とクリーニングです。というのも口腔ケアを怠ると天然歯を失った時と同様に、“インプラント周囲炎”という疾患にかかるおそれがあり、悪化するとせっかくのインプラントを失ってしまう心配があるからです。
    インプラント手術が成功し快適に噛めるようになると安心されて、定期検診などがおろそかになってしまわれる方がいらっしゃいますが、歯科医院とのほんとうのおつきあいはここからです。インプラントをされたなら、私たちといっしょにタッグを組んで本気の歯周病対策を始めましょう。

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