オーラルフレイル予防で健康管理

口腔機能の衰えがきっかけに
最近、耳にする言葉にフレイルという言葉があります。フレイルとは高齢者になって心身の活力(筋力、認知機能、社会とのつながりなど)が低下した状態をいいます。
海外の老年医学の分野で使用されている「Frailty(フレイルティ)」が語源になっていて、虚弱や老衰、脆弱などの意味がありますが、こうした変化に早く気づき正しく対応すれば、健康に戻ることができる変化を指しています。
フレイルとしてあげられているのは、体重減少(年間4.5kgまたは5%以上の体重減少)、疲れやすい(何をするのも面倒だと週に3〜4日以上感じる)、歩行速度の低下、握力の低下、身体活動量の低下の5項目です。3項目以上に該当するとフレイル、1または2項目の場合はフレイルの前段階であるプレフレイルと判断されます。
全身の身体機能の低下より先に社会参加など他者との交流が減ったり、口の機能が衰えることがきっかけといわれています。とくに口腔機能の衰えである”オーラルフレイル”がその入口となることも多いため、注意喚起がなされています。
口腔機能の低下は食べる機能の障害から栄養バランスの乱れ、低栄養、体重の減少、さらには心身の機能の低下につながる負の連鎖を引き起こすからです。
現在、厚労省でもフレイルについて注目し、2040年までに男女ともに健康寿命の3年以上延伸を掲げた「健康寿命延伸プラン」の具体的な取り組みの柱の一つとして「介護予防・フレイル対策、認知症予防」を位置づけています。
しっかり噛んで食べることが重要
コロナ禍においては外出することが減り、人との交流が途絶えがちなりますが、自粛生活の長期化によってフレイルが進むということが最新のデータからわかってきました。確かに高齢者ではなくても、以前よりもやる気の低下や筋力の低下などを感じる方も少なくないのではないでしょうか。とくに口腔機能についてはマスク生活が長引くことからお口の周りの筋肉の衰えなど少なからぬ影響が出始めています。
オーラルフレイルは滑舌の低下のほか、食事の際にむせる、噛めないものが増えるなど普段の生活の中のささいなトラブルから始まります。食事もやわらかいものが中心となると、ますます噛む行為が減り、咀嚼機能の低下につながるなど悪循環に陥る危険性があります。以下にあげたチェック項目でお口の健康状態をセルフチェックしてみることをお薦めします。
オーラルフレイルの予防としてはささいな衰えに気づくこと、バランスのよい食事を心がける、かかりつけの歯科医を持つことの3点があげられています。かかりつけ歯科医に定期的に通って検診とクリーニングをすることは小さな変化に気づきやすく、早期に対策が取れるというメリッとがあります。全身の健康を支える基本は日々の栄養管理といえ、何を食べるかということはもちろんですが、しっかり噛んで食べるということもまた、同じくらい重要だということも忘れないでください。オーラルフレイルの予防で全身の健康維持を実践していきたいものです。
オーラルフレイルの
セルフチェック表
- はい
- いいえ
- 半年前と比べて、堅い物が食べにくくなった
- 2点
- 0点
- お茶や汁物でむせることがある
- 2点
- 0点
- 義歯を入れている※
- 2点
- 0点
- 口の乾きが気になる
- 1点
- 0点
- 半年前と比べて、外出が少なくなった
- 1点
- 0点
- さきイカ・たくあんくらいの堅さの食べ物を噛むことができる
- 0点
- 1点
- 1日に2回以上、歯を磨く
- 0点
- 1点
- 1年に1回以上、歯医者に行く
- 0点
- 1点
- 0〜2点
- オーラルフレイルの危険性は低い
- 3点
- オーラルフレイルの危険性あり
- 4点
- オーラルフレイルの危険性が高い
出典:東京大学高齢社会総合研究機構 田中友規、飯島勝矢

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