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認知症予防は奥歯から

歯と健康

中村歯科コラム:認知症対策として噛み締める刺激が脳を活性化

認知症対策として噛み締める刺激が脳を活性化

日本人の平均寿命で男性は81.41歳、女性は87.45歳(2020年、厚生労働省発表)となり、世界でも有数の長寿国です。人生100年時代の到来も間近といわれていますが、高齢化とともに認知症の患者数も増大し、2025年には730万人(2020年に約602万人)にのぼると推計されています。65歳以上の高齢者の5人に1人が認知症という時代は目の前に迫りつつあります。
認知症の治療及び予防は医学的にはもちろん、社会的にも差し迫った課題ですが、歯科において認知症予防の観点から注目されているのは奥歯の存在です。奥歯は食事の際に硬いものも容易に噛み砕いたり、磨りつぶすという機能をもっていて、大臼歯が1本失われただけで、その噛み砕く能力は40%も低下するといわれています。奥歯の噛む力を、奥歯に圧力センサーを挟んで測ると、大人では約50㎏と測定されます。体重50㎏くらいの大人の人を持ちあげるくらいの力を発揮できるというわけですが、この奥歯の噛み締める刺激が脳を活性化する力というのは予想以上に大きいことがわかってきました。

80歳20本を目標に

歯の状態と認知症発症との関連とを調べた調査では、奥歯がない(義歯も使用せず)人は、20本以上残っている人と比べて、年齢、健康状態、生活習慣などの影響を除いても認知症を発症するリスクが1.85倍高いという結果がでました。つまり、奥歯がないと認知症のリスクが奥歯のある人に比べて2倍近くに跳ね上がるということなのです。ただ、義歯を使用することでしっかり噛めている人は認知症リスクが1.09倍と、歯がある人とほとんど変わりはありませんでした。このことから義歯によって噛むという機能を維持することができていれば、認知症リスクは抑えられるということがわかります。噛む機能が自然歯に近いインプラントにおいても同様のことがいえると思います。
認知症が先か、歯を失ったのが先かということを考えたときに、これまでは認知症になり、ご自身で歯のお手入れがきちんとできなくなり、その結果歯を失ってしまうと考えられていましたが、じつは逆であり、奥歯を失ったことをきっけかにして認知症を発症し、進行するということが事実のようです。
現在、日本医師会では『8020運動』といって80歳で20本の歯を残す運動を推進しています。これは20本以上の歯が残っていれば、不自由なく食事ができ、栄養状態もよいということからです。19本以下になると噛めなくなる食材の割合が急に増え、栄養バランスに偏りがでてきます。さらには認知症予防の観点からも20本以上の歯を残すことが重要だということがいえます。奥歯が長寿社会を救う──というわけです。
一生を通じて縁の下でとても重要な役割を演じてくれている奥歯を失わないように日頃からしっかりとケアして、大事に使っていきたいものです。

中村歯科コラム:80歳20本を目標に

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