噛み合わせが運動パフォーマンスを左右する
噛み締め効果で筋力アップ
オリンピックの開催が7月23日と目前に迫っていますが、今回はオリンピックでも活躍が期待される運動選手と歯との切っても切れない関係について注目したいと思います。
スポーツのパファオーマンス向上には集中力やバランス感覚、筋力アップや柔軟性などさまざまに考えられますが、しっかりと噛めるか噛めないかということがたいへん重要であることがわかってきました。
重いものを持ち上げようとするときや固く閉まった瓶の蓋を開けようとするときなど、知らず知らずのうちに歯を食いしばっていませんか?歯を食いしばるとなぜ大きな力が出せるのでしょうか。
これは上の下の歯が噛み合ったときに“噛んだ”という刺激が脳の「運動野」(運動のコントロールに関与する領域)に伝達され、身体を動かすための骨格筋などの反応や動きに影響を与えるためだといわれています。実際に重量挙げには“噛み締め効果”があると指摘されています。
ラグビーのタックルの瞬間や野球でのバッティングの時にも選手は奥歯を噛み締めています。元巨人の王貞治選手の奥歯がボロボロになっていたという話は有名ですが、王選手のバッティングのときの歯にかかる力は90kgを超えていたと言われます。奥歯の咬合圧は平均で50~70kgといわれており、王選手の咬合圧がいかにすごかったかがわかります。王選手の大記録の秘密はその咬合圧を支えた頑丈なあごにあったともいえるのではないでしょうか。
陸上の100m走でもスタートから地面を強く蹴って加速するまではぐっと奥歯を噛んで体のぶれを防ぎますが、いったんスピードに乗れば、ゴールまで力を抜いた走りで加速させます。実際にカール・ルイスは100m走の途中で舌が出てしまうくらいにリラックスした走りであり、ウサイン・ボルト選手も終盤は口を開け気味で余分な力が抜けていました。
いずれにしろ、噛み合わせが正しくなければ筋力アップや運動パフォーマンスの向上にはつながらないといえ、そのために一流選手になればなるほど噛み合わせはもちろん、歯と歯肉の健康には気をつけているといえます。
マウスピースを毎試合新調する村田選手
ボクサーの村田諒太選手もその1人で、試合前には毎回マウスピースを作り直すそうです。高校時代に合わないマウスピースで試合に出場して勝てるはずの相手に危うく負けそうになった経験があり、それ以来、マウスピースへの配慮はもちろん、歯の大切にも目覚めて歯科にもよく通って口腔内のチェックを怠りません。
一般人はアスリートのように記録や勝敗といったことはありませんが、あごの関節などからだに負担がかからず、効率よく咀嚼できる噛み合わせが理想であることにはかわりはありません。気になる方はぜひ一度、歯科医に相談してアドバイスを受けてみることをお薦めします。
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