睡眠時無呼吸症候群に行われる歯科的治療とは
![中村歯科コラム:起床時に口の中が乾いていませんか](/wp-content/uploads/202102_01.jpg)
起床時に口の中が乾いていませんか
いびきで迷惑した経験というのはだれしもお持ちだと思いますが、いびきをしている本人もじつはからだには負担がかかっているので要注意なのです。いびきをしているかは本人では気づかないのでやっかいなのですが、起きた時に口の中が乾いているという場合は口呼吸をしていたためであり、いびきが疑われます。鼻呼吸ではいびきになることはないからです。
いびきの原因は喉の奥の上気道が狭くなり、その狭くなった気道を呼吸のたびに空気が出入りするために周囲の粘膜が振動して起こります。就寝時は舌や喉の周りの筋肉が緩むため気道が狭くなりやすいのです。いびきで注意が必要なのは睡眠時無呼吸症候群(SAS)を伴う場合が多いからです。
「無呼吸」とは睡眠中呼吸が止まっている時間が10秒以上の場合で、無呼吸ではないが今にも止まりそうな弱い呼吸を「低呼吸」とし、1時間あたりの平均の無呼吸と低呼吸の回数が5回以上(5未満は正常)で日中の眠気や倦怠感などの症状を伴う場合、「睡眠時無呼吸症候群」(SAS)と診断されます。検査は鼻の呼吸センサーで睡眠中の呼吸状態を、指先に装着するセンサーで血中酸素飽和度や脈拍数などを計測し、睡眠の質を検査します。
無呼吸のときの状態は、酸素濃度が下がり呼吸不全になったときと同じでからだが非常事態となり、心拍数や血圧を上げて体中に十分な酸素を供給しようとします。これは日中に運動をしているような状態といえ、この非常事態を毎晩、1時間に何回も、何十年も繰り返すことで心臓への負担が蓄積し、高血圧や虚血性心疾患、不整脈、脳血管障害、大動脈解離などの循環器病や糖尿病のリスクを高めることが報告されています。本来、からだを休めるべき就寝時に病気がつくられるということから、最近はこのSASを循環器病として捉え、積極的な治療と研究が行われるようになってきました。
マウスピースの装用でいびきの緩和
治療法にはCPAP装置を用いて空気圧で狭くなった気道を広げる療法が一般的ですが、歯科的な治療としてマウスピースを使った治療法があります。マウスピースの装用により下顎を前に出すことで舌根を引き上げて気道の閉塞を抑制しいびきやSASを緩和します。下顎の位置をずらすために違和感や痛みを覚える場合もいるので、前に出す位置の調整しながらご自身でも少しずつ慣れていく必要があります。CPAP療法に比べて特別な装置も必要なく手軽にでき、旅行などにも携帯できるというメリットがあります。
日本人は欧米人のような高度の肥満体型は少ないのですが、あごがきゃしゃなことが原因となることがあり、日本人のSASの患者さんの約30%はあごが小さいことが原因とも言われています。
現在はいびき外来や睡眠外来など受診窓口も増えていますので、ご家族にいびきや無呼吸といわれた方はぜひ一度ご相談されることをお薦めします。
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