台風のあとは歯周病が悪化する!?
気候の変化と体調について
悪天候の日にきまって頭痛がしたり、だるくなったり──、「雨の日はどうも調子が悪いな」と感じる方はいらっしゃいませんか。こうした気候の変化と体調との関係は気のせいではなく、ぜんそくや関節痛、神経痛の症状があらわれたり、古い傷が痛んだりすることもあります。気象病とよばれるもので天気の変化によって引き起こされる何らかの身体的・精神的な不調のことをいいます。最近は気温や湿度だけでなく、気圧の変化も体調に影響することがわかってきました。
口腔内もこの気象の急激な変化による影響を受けていてむし歯の痛みが増したり、歯周病が悪化して歯肉が腫れるなど急性の症状を引き起こすことがあります。
気圧と気温の急激な変化が引き金に
気象条件と歯周病との関係を研究しているのは岡山大学大学院医歯薬学総合研究科の森田学教授らの研究グループで、森田教授は“飛行機に乗ると歯が痛くなる”と昔からよくいわれている現象に着目して、歯周病の悪化と天候との関係を調べ始めたとのことです。
森田教授らは同大学病院歯科で歯周病ケアを受けている患者約2万人を調査、歯ぐきの腫れや痛みなどの急性症状が出た患者360人のうち、心身ストレスや外傷、不十分な口腔衛生、喫煙などの原因が特定できる患者をのぞくと153名が原因不明の急性化を起こしているとして選び出し、この男女153人(平均年齢68.7歳)を対象に、岡山地方の気象状況(風速、気圧、日照時間、雨量、温度、湿度)を照合して解析しました。その結果、「気圧の急激な変化」と「気温の急激な変化」が、歯周病の急性化の引き金になっていることが判明しました。さらには気圧が急激に低下した日の2日後と、気温の上昇が大きかった日の翌日に発症するケースが多かったということがわかりました。その詳しいメカニズムはまだ不明ですが、気象変化によって生態の恒常性のバランスが崩れ、免疫力が低下することが要因の一つではと推測しています。
歯周病の急性化が起こるのは台風が通過した2日後がピークとのこと。これから本格的な台風シーズンを迎えますが、日頃の口腔ケアはもちろんですが事前に気圧、気温の変化が予測されるときには丁寧な歯ブラシや歯科医院でのプラークや歯石除去などのクリーニングを受けて事前の予防措置を心がけましょう。
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