今、注目のバクテリアセラピーで口臭予防
口臭の発生要因
今年は節目の年となり、日本は新元号の「令和」とともに新たな一歩を踏み出しました。スタートを切るといえば、新入生、新社会人の姿がまぶしく見えるこの季節、新しい環境に飛び込んでいくその姿に思わずエールを送りたくなりますが、環境も変われば新たな出会いもあり、人と接する機会も増えます。そんなときに気をつかうのが身だしなみであり、女性であればお化粧やヘアスタイルなど念入りにチェックされるのではないでしょうか。さらにはお口の匂いを気にされてこまめに歯磨きをしたり、マウスウォッシュをされる方も多いことと思います。
そこで口臭についてですが、口臭には2種類あり、食べたものが原因による一時的な匂いと、“細菌性”の口臭とがあります。“細菌性”とは聞き慣れないのですが、口臭の約9割がお口の中の細菌によるものといわれています。細菌の中でもとくにミュータンス菌などのむし歯菌や歯周病菌などお口の中で悪さをする悪玉菌が原因となる場合は臭気が強く、細菌そのものも特有の臭気を発するため、周囲の人に不快な思いをさせてしまう場合が少なくありません。
食べ物による口臭が一過性であるのに対し、こうした悪玉菌による口臭は常時するため本人がその匂いに馴れてしまい、気づきにくいという特徴があります。
口内フローラ改善に高い効果
こうした細菌による口臭対策は元から断つことが一番有効ということで、日頃の歯磨きはもちろん、定期的な歯科検診とクリーニングが重要になります。最近はそれに加えて “バクテリアセラピー(細菌療法)”という新しい予防法が開発され注目されています。ヨーグルトや乳酸菌飲料などの摂取により腸内フローラ(腸内細菌叢)を整えることで体質改善につなげることはご存じだと思いますが、これもバクテリアセラピーの手法です。お口の中についても同様に善玉菌の力を活用して病気の予防や治療に役立てようと手法を、予防歯科の先進国であるスウェーデンのカロリンスカ医科大学が提唱し、先進諸国に普及し始めています。
とくに善玉菌のなかでも アンデス山中に住む母親の母乳から発見された“ロイテリ菌”という乳酸菌が注目されています。腸内フローラ同様、口腔内にも口内フローラが作られていますが、ロイテリ菌は口腔内にとどまり、口内フローラの細菌バランスを整えてくれるという優れた菌なのです。すでにヨーグルトやサプリメントやガムとして商品化されていて副作用はなく、ほかの薬と併用しても問題はないのでこうした商品を活用して口臭予防をするのも手軽な方法だといえます。
ロイテリ菌は悪玉菌を抑制する効果が強いのでむし歯や歯周病の予防にも効果があることが報告されており、さらには胃酸にも強く腸内にも届いて腸内環境を整える働きもあります。口腔内だけではなく、腸内の善玉菌を増やすことで全身の体調改善にもつながり、結果的に歯周病も減少したという報告もあります。
こうした善玉菌の健康への活用法であるバクテリアセラピーは、歯科治療においても今後はさらに盛んになっていくものと期待されています。
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