歯科コラム

第3の疾患、“酸蝕歯(さんしょくし)”とは?

歯と健康

4人に1人が酸蝕歯?!

人間の体の中でもっとも硬い組織は? それは歯の表面を覆うエナメル質で、象牙質と歯髄を守っています。厚さは2〜3㎜と非常に薄い層ですが、鉄やガラスよりも硬く、ナイフでも傷をつけることが難しいほどです。
これほど硬いエナメル質ですが、弱点はあって酸に弱いことです。ミュータンス菌などむし歯菌が作り出す酸によってむし歯になることはご存じの通りです。
最近はむし歯菌だけではなく、酸性の飲食物によって歯のエナメル質が損傷することがわかってきました。普段なにげなく口にしている炭酸飲料をはじめ、フルーツジュース、黒酢、スポーツドリンク、栄養ドリンク、ワイン、ビール、日本酒のほか、レモンやグレープフルーツなどの柑橘類や酢飯、梅干し、ドレッシングなど酸性の飲食物が原因となります。
普通、飲食後は唾液によって中和され、口腔内は中性に近い弱酸性に落ち着きますが、酸性の飲み物や食べ物をだらだらと摂取し続けると、歯が酸に触れている時間が長くなり、エナメル質が溶け出してしまうのです。こうした飲食物の酸によってエナメル質が溶け出すことを酸蝕症(さんしょくしょう)といい、そうした歯を酸蝕歯(さんしょくし)といいます。ある調査によると健康な歯だと思っていた人の4人に1人の割合でみつかったという報告もあり、むし歯、歯周病に次ぐ第3の疾患ともいわれています。

酸蝕症は日々、少しずつ溶け出すために気がつかずに進行することが特徴で、「冷たいものがしみる」「歯のツヤがなくなってきた」「歯が黄ばんできた(象牙質の黄色い色が透けて見えるため)」などに思い当たれば、酸蝕症が進んでいる可能性があります。さらに酸蝕症が進行すると象牙質がむき出しになるため、知覚過敏が強くなったり、歯の黄ばみが強くなったり、詰め物が取れたりします。酸蝕症の予防するにはどうしたらよいでしょう。

エナメル質にやさしい生活習慣を

酸蝕歯の予防は酸性の飲食物を摂取するときにはできるだけ短時間ですませ、そのあとうがいをして洗い流しておくことです。酸性の飲み物はストローで飲むなど、歯になるべく接触させない方法もあります。 歯磨きは飲食後すぐではなく、30分以上おいて、唾液によって口腔内が中和されてから行います。強い酸性にさらされるとエナメル質は軟らかくなり、そのときに歯磨きをすると傷つけるおそれがあるからです。歯ブラシは柔らかめのものを選び、軽くマッサージするようにブラッシングします。
酸触歯は口腔内全体で進行するため、虫歯よりも深刻だといえ、早めの受診が肝心です。治療は再石灰化を促す薬剤によってエナメル質を強化するほか、歯の表面の凹凸や隙間ができてしまった場合は詰め物によって治療します。
夏場は飲み物を摂る機会も増えるので要注意です。エナメル質は口腔内のph(ペーハー)が5.5以下になると溶け出すといわれており、エナメル質に安全なpH(ペーハー)6以上の飲み物はウーロン茶、緑茶、水道水、ミネラル水、牛乳などです。紅茶の場合はレモンティー(ph3.9)ではなく、砂糖なしのミルクティー(ph6.8)が歯には安心といえます。
いつまでも白く輝く歯でいるためにも、エナメル質にやさしい生活を習慣づけたいものです。

※ph(ペーハー)は7が中性でそれ以上はアルカリ性、それ以下は酸性を示します。

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