歯列の崩壊を招く欠損ドミノとは
歯の欠損の現状
現在、あなたには何本の歯がありますか?と聞かれてすぐに答えられる人は意外と少ないのではないでしょうか。差し歯や金属などを詰めた治療済みの歯も含めた本数で、ブリッジや入れ歯になっていて歯根がない部分は除きます。
永久歯は親知らずの4本を含めると32本ありますが、年齢とともにこの本数が減っていくというのが現実です。平成28年の歯科疾患実態調査によると20本以上の歯を有している人の割合は40~44歳では98%ですが、60~64歳では85%、70~74歳で63%、85歳以上になると25%と、4人に1人だけとなってしまいます。
歯はできるだけ失いたくないもの。ただ、万が一、1本でも失ってしまった場合にはそのまま放置することだけは回避していただきたいと思います。それ以上、歯を失わないためにも噛み合わせを回復する治療を受けることが大切なのです。それによって将来、残せる歯の本数が大いに違ってくるからです。
欠損部分はインプラント等で機能回復を
歯を失った時にまっ先に気になるのは見た目ではないでしょうか。前歯であれば、失った部分が非常に目立つのでそのまま放置する方はほとんどいらっしゃらないでしょう。ただ、奥の方になると大きな口さえ開けなければ大丈夫と思ってそのまま放置してしまわれる方がいるかもしれません。しかし、その判断はたいへん危険なことで、歯を失ったダメージというのは徐々に、しかし確実に現れてきます。
鏡の前でご自身の歯列を確認してみてください。U字型に配置されていることがわかりますが、この形には意味があって、隣り合う歯が支え合ってこのアーチを維持し歯列の強度を保っているのです。このアーチ型の構造は強度が必要とされる橋や屋根など建築物でよく見ることができます。
ところが支えている歯が1本でも失われると隣同士で拮抗していた力のバランスが崩れ、アーチ型が維持できなくなります。そのため、タガがはずれた樽のように歯が倒れたり隙間が空いたり、とくに前歯に影響がでると、俗に言う“出っ歯”のようになってしまったりします。
それだけでなく、挺出(ていしゅつ)といって、欠損歯と噛み合っていた歯が突出するように移動してきます。そのため、長く伸びたように見えるのですが、これは噛み合う相手がいなくなることで本来の位置を維持できなくなるためです。こうなってしまうと元に戻すことが難しくなり、のちに差し歯やインプラントをする際に困難が伴うことになります。
1本の歯の欠損が隣り合う歯へと次々と影響していき、まるでドミノ倒しのように歯列・咬合の崩壊が進行していくこの“デンタル・ドミノ”を招かないためにも、歯を失ってしまった場合は放置せず、インプラントやブリッジ、義歯など噛み合わせの機能回復のための治療を受けておくことが大切なのです。
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