むし歯リスクを高めるネット依存に要注意

女子の方がむし歯になりやすい理由
永久歯のむし歯になるリスクが一番高いといわれる学齢期(満6歳以後の9年間)ですが、富山大学学術研究部医学系疫学健康政策学講座の山田正明准教授、関根道和教授らは2018年に富山県内の4~6年生の小学生13,413名を対象に、むし歯に関する調査研究を行いました。
“むし歯が多い児童”を治療した歯、あるいは未治療歯の合計が3本以上ある児童として抽出すると、全体の約4分の1の児童がそれに該当し、男女比では女子が27%と男子の24.1%を上回っていました。女子の方がむし歯の割合が多い理由には、女子の方が永久歯の萌出が早いことのほか、生物学的に酸を生成する菌が口腔内に多い、男子の方がエナメル質の強度が強いなどがあげられています。
メディア利用のルールづくりが必要
生活習慣との関係では、「朝食を食べない」「遅い就寝」「歯みがき回数が1日1回以下」「家庭でメディア利用のルールがない」「ネット依存」に該当する児童でむし歯の割合が増え、とくに男子ではネット依存、女子では就寝時間が遅くなるにつれてむし歯の割合が階段状に高くなりました。
むし歯になりやすさと「ネット依存」との関連が注目されますが、むし歯リスクが高くなる理由にはゲームや動画に長時間を費やすことでジュースや甘いお菓子を食べる機会が増えること、さらにはゲームやSNSを長時間利用することによる心理的なストレスや負担などから唾液の免疫機能が低下することなどがあげられています。スマホやパソコンに熱中するあまり、歯みがきがおろそかになる可能性も否めません。
また、ネット利用に関連して、「メディア利用のルールがない」家庭の児童にむし歯が多い傾向があり、食事やおやつの内容、歯みがき習慣などと同様に、生活全般について親の目が行き届いているかどうかの一端を表しているのではないかと示唆されました。
むし歯は生活習慣によって防げる疾患です。お子さんのネット利用が当たり前になった今、毎日の朝食摂取、早い就寝、1日2回以上の歯みがきといった規則正しい生活習慣に加えて、家庭でメディア利用のルールをもつことがむし歯予防の一環として重要だといえそうです。

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