歯科コラム

食事も“噛みごたえ”が大事です

歯と健康

柔らかい食事の落とし穴

「最近は歯ごたえのある人物が減ってきたなあ」なんて声を耳にしますが、歯ごたえといえば、毎日の食事についてはどうでしょうか。ハンバーグに卵料理、豆腐料理、麺類と柔らかい献立ばかりが思い浮かびます。
確かに現代人は噛むことが億劫になりがちで、硬いものよりも柔らかいものを好む傾向にあります。しかし、そこに落とし穴があり、柔らかいものばかり食べていると噛むときに動かす咬合筋を使わなくなり、しだいに噛む力が弱くなってしまうのです。その結果、以前は噛めていた硬いものまで噛めなくなって、さらに柔らかいものばかりを食べるというるという負のスパイラルに落ち込んでしまいます。
食生活が偏ってしまうことで食欲も減退、低栄養状態を招いて全身機能の低下につながります。とくにお年寄りの場合は噛むことによる中枢神経の刺激が減るため、アルツハイマー型認知症の発症率が高くなります。
また、ある調査によると、65歳以上の比較的元気な方、2000人を対象に4年間の追跡調査したところ、口腔内の機能の衰えのある人の場合は、衰えのない人に比べて死亡のリスクが2倍になったという結果が出ています。

食材は大きめに切ることがコツ

噛む力は生きる力に直結しているということを踏まえて、日々の食事も“歯ごたえ”を意識したいものです。
といっても難しいことではありません。食材の切り方を変えるだけでいいのです。たとえばキュウリなども薄く輪切りにするのではなく、ざっくりとした乱切りにするだけで噛む回数も2倍ほど違ってきます。噛む回数が多いということではそれだけ唾液も分泌され、消化吸収もされやすくなります。
複数の食材を組み合わせることもポイントで、小松菜のおひたしなどにもキャベツにゴマなどを加えるだけでも噛む力がアップします。脳が違う食材があることをキャッチして噛むことを意識させてくれるからです。
噛み切りにくく、飲み込むまでに時間がかかる切り干し大根などの乾物や油揚げなどもお勧めの食材です。
お肉は挽肉や薄切りではなく、厚みのあるものがお薦めです。
暑い季節はとくに麺類が多くなりがちですが、噛みごたえのある1品を加えることでお口の機能低下の予防になります。その際、水やお茶、スープなどで流し込まず、きるだけよく噛んで飲み込むことを忘れないようにしてください。
お料理を作る側としてはどうしても“食べやすさ”を考慮しがちですが、そのやさしさが噛む機能の低下を招きます。少々食べにくいくらいのお食事で大丈夫。日々、“歯ごたえ”のある食事を意識して健康維持に努めましょう。

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